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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

映画

『シヴァ・ベイビー』

パパ活女子がお葬式で修羅場、という軽快なコピーの裏に、これほど濃密な内面描写が詰まっているとは。悲劇と喜劇が同居するこの映画の奇妙なおかしさについて考える

『センチメンタル・バリュー』

フィクションを通してしか自己を表現できない父と娘。単純な和解でも赦しでもないエンディングの誠実さと、それを支えるポリフォニー的な対話について考えた

『この本を盗む者は』

深緑野分原作のアニメ映画。児童文学的にテンポよく展開する物語は小綺麗にまとまっており、誰でも楽しめるウェルメイドな仕上がり。もっとも、優等生的な雰囲気ゆえの物足りなさもどこかに感じられた

『果てしなきスカーレット』

低評価が目立つ本作を擁護的に分析・考察する。「説明的すぎる台詞」「ご都合主義的な死者の国」「唐突なミュージカルシーン」は単なる欠陥か?YA文学的手触り、赦しと自己受容という主題を軸に、作品を肯定的に読み解く試み

『都市とモードのビデオノート』

ヴェンダースが山本耀司のパリコレ準備を追ったドキュメンタリー。生きるための服を理想とする山本の思想と、アシンメトリーや入れ子構造を多用したヴェンダースの映像。メインストリームから適度な距離を取る、職人的な二人の作家が共鳴するさまがぐっとくる

『ポトフ 美食家と料理人』

トラン・アン・ユン監督による、19世紀末の美食家と料理人の物語。静謐な映像と、繊細に響く調理の音が、芸術にまで高められた料理を美しく描き出していく。互いの情熱をリスペクトし合う、その特殊な愛の形を読む

『実演!バグ/ダイナソーJR』

ダイナソーJr.がオリジナルメンバー3人で復活した後、2011年6月にワシントンDCで行われた、3rdアルバム『BUG』全曲再現ライブの映像。抽選で選ばれたファンたちの手によって撮影された素材が用いられている。だから映像自体はだいぶ粗いのだけれど、それだけ…

『ダイナソーJr./フリークシーン』

ダイナソーJr.のドキュメンタリー映画。バンドにがっつりと密着して作成したというよりは、軽く関係者にインタビューしながらいままでの流れを追ってみた、というような作りになっており、とにかく全体的に淡々とした作りになっている。好意的な見方をすれば…

『女神の見えざる手』

家族も恋人も持たず、勝利だけを求める敏腕ロビイスト、ミス・スローンの姿はハードボイルドそのもの。その強さと、わずかに垣間見える脆さを手がかりに、彼女の人物像を読み取る

『恋する惑星』

高校生の頃にミニシアター系の映画を見始めたころから、そのうち見ようーとおもっているうちに気がつけば20年あまり経ってしまっていたのだが(そういうことって、結構ありますよね?)、ようやく見れた。ウォン・カーウァイというと、個人的に『花様年華』…

『誰も知らない』

是枝裕和監督の2004年作。痛ましい事件の影に潜む日常の豊かさと、生のきらめきを静かに照らす一作。ニュースや物語の筋書きでは掬いきれない、ディテールの繊細さが呼び起こす情感に迫る

『サマーフィーリング』

ある夏の日、ベルリンに暮らす30歳のサシャは突然倒れ、そのままこの世を去ってしまう。あまりにも唐突な彼女の死は、恋人のローレンスにとっても、サシャの妹ゾエをはじめとする家族にとっても、そう簡単に受け止められるものではない。傷を抱えたもの同士…

『トラスト・ミー』

ザ・シネマメンバーズにて。ハル・ハートリー監督作。インディ感の溢れまくる小品だった。社会にまるで馴染めない不器用すぎる青年と、うっかり妊娠してしまった少女が出会う。青年は父親に虐待されていたし、少女は母親に搾取されるような生活を送っていた…

『めぐり逢わせのお弁当』

インド映画ながら、しっとりとしたヨーロッパ的なトーンで描かれる、孤独な大人ふたりの人生。「600万分の1」の奇跡的なお弁当の誤配送が、手紙を通じた心の交流を生み、やがて人生に活力を取り戻す

『シーモアさんと、大人のための人生入門』

UPLINK Cloudにて。50歳でコンサートピアニストを引退し、80歳を過ぎてもなおピアノ教師を続けている、シーモア・バーンスタインの姿を描いたドキュメンタリー。とっても地味で静かな映画ではあるものの、全編に流れるピアノの音色が素晴らしい、なかなか素…

『博士と彼女のセオリー』

スティーヴン・ホーキングの元妻ジェーンによる半生記。余命宣告された夫を支え、介護、出産、育児をこなした彼女の決意と苦悩が描かれる。別離を経ても、二人の信頼が作り上げた独自の「セオリー」はなお残り、その美しさは観客にもはっきりと感じられる

『世界の涯ての鼓動』

去年、TOHOシネマズシャンテにて。生物数学者の女(アリシア・ヴィキャンデル)とMI-6の諜報員の男(ジェームズ・マカヴォイ)が、ノルマンディーの海辺にある小さなリゾートホテルで出会う。ふたりはそれぞれ、自らの信念を賭けた大きなミッションを数日後…

『リンドグレーン』

『長くつ下のピッピ』等で知られる児童文学作家が、作家になる以前を描いた物語。信仰や規範、過酷な現実と向き合いながら自分の人生を引き受けていく姿は、ピッピのような力強さを感じさせるものだ

『マイ・ブックショップ』

恵比寿ガーデンシネマにて。舞台は1959年、イングランドはロンドンから遠く離れた小さな海辺の町。若くして夫を戦争で亡くしたフローレンスは、町にまだ一軒もない本屋を開こうと決める。いつか本屋をやる、というのは読書好きの夫との夢だったのだ。空き家…

『ポリス』

ずいぶん以前に、早稲田松竹にて。(以前の邦題は、『ソフィー・マルソーの刑事物語』。)『ヴァン・ゴッホ』とよく似ているところは、登場人物たちが何をかんがえているのかはっきりとはわからない、というところだろう。愛を知らない孤独な男女が、その孤…

『ヴァン・ゴッホ』

ずいぶん以前に、早稲田松竹にて。こんなに素晴らしい作品のことをいままでまったく知らなかったとは…!っておもってしまうほど、深い情感を描き出した、美しい映画だった。ぼわっとした光と影、気怠い空気感のなかで、ファン・ゴッホの晩年、オーヴェル=シ…

『ノーザン・ソウル』

新宿シネマカリテにて。70年代イングランド北部で発生したニッチなポップカルチャーのムーブメント、「ノーザン・ソウル」のシーンを舞台にした作品。いわゆるワーキングクラスの青年が、ノーザン・ソウルの音楽とダンスに没頭することで10代の鬱屈を生き延…

『ギルティ』

新宿武蔵野館にて。デンマーク映画。警官のアスガーは、ある事件がきっかけで現場を退くこととなり、緊急通報室のオペレータとして、事故現場に警官を派遣するだとか急病人の緊急搬送を手配するだとかいった、細々した事件に応対する日々を過ごしていた。だ…

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

ずいぶん以前に、早稲田松竹にて。ディカプリオのドヤ顔がたくさん見られて――しかしこの人は本当にいろいろなドヤ顔を持っている!――それだけでもおもしろい、マーティン・スコセッシ作のブラックコメディ。これもまた実話をもとにした作品なのだけれど、『…

『ブリングリング』

ずいぶん以前に、早稲田松竹にて。LAに暮らす裕福な家庭の子供たちが、夜な夜なセレブの空き家に忍び込み、窃盗を繰り返す…という、本当にそれだけの話(実話)を描いた作品。「シャネルのバッグが欲しいの」→「そういえば、リンジー・ローハンは今晩パーテ…

『ウォールフラワー』

ウォールフラワー(字幕版)発売日: 2014/09/03メディア: Prime Videoこの商品を含むブログを見る 日比谷TOHOシネマズシャンテにて。他人とコミュニケーションを取ることが苦手で、文字通り「壁の花」だった16歳の少年が、自分を認めてくれる友人たちと出会い…

『ムード・インディゴ うたかたの日々』

ボリス・ヴィアンの原作を尊重したシュールな映像美は素晴らしく、原作ファンなら見て後悔することはない一作。ただ、主役二人がかなり知的で大人びているため、若さゆえの愚かさ、という雰囲気は薄くなっている印象もあった

『クロニクル』

ひとことで言うなら、ティーンエイジャーの鬱屈した内面を「超能力」というツールを用いることによっておもいっきり肥大化させ、その痛みや閉塞した感覚を描き出した、という感じの作品だ。プロットに関してはおおよそ予想の範囲内だったけれど、物語のクラ…

『風立ちぬ』

風立ちぬ [DVD]出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社発売日: 2014/06/18メディア: DVDこの商品を含むブログ (122件) を見る 109シネマズ木場にて。宮崎駿のいままでの作風とはずいぶんと異なる作品だった。前評判は「大傑作!泣けちゃう…

『ラヴ・ストリームス』

ラヴ・ストリームス [DVD]出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン発売日: 2013/07/03メディア: DVDこの商品を含むブログ (4件) を見る 早稲田松竹にて。 結婚生活が破綻した後、破天荒な生活を送っていた弟(ジョン・カサ…