2011-01-01から1年間の記事一覧
渋谷シネマライズにて。若さゆえの繊細さと危うさ、それが否応なしに引き起こしてしまう痛みと、だからこその美しさ、ってやつを描かせたら、ガス・ヴァン・サントはまず間違いない監督のひとりだろうとおもうのだけど、今作もじつに静謐かつエモーショナル…
12月になってからというもの、仕事がすっかりスーパーハードモードに入ってしまい、土日も含めてまじでほとんど仕事しかしていない生活である。まったく、なんかたのしいこととかないのかねー!とかおもいつつ、たまの気晴らしに電車のなかで青空文庫の短編…
ちょっとまえの『文藝』にて。綿矢の作品のタイトルはなかなか印象的なものがおおいのだけど、今回も、おーそうきたか…っておもわせるようなインパクトのあるタイトルだ。"憤死"するのは、物語の語り手である主人公(♀)の女ともだち、佳穂。彼女は、彼氏に…
映画『ルル・オン・ザ・ブリッジ』の脚本をひさびさに読む。オースター作品のなかでもとりわけファンタジーめいた本作(なにしろ、夢オチなのだ)だけれど、扱われているテーマはヘヴィで、胸にずっしりとくる。個人的には、すごくすきな作品だ。サックス奏…
形而上の問題(コギトと神の存在証明)について語ったあと、デカルトは自然界の諸問題へも手を伸ばしている。第一原理はもうばっちり確立できたのだから、そこから演繹的にさまざまな真理を導いていっちゃうよ俺、というわけだ。本書の後半では、当時、彼が…
方法序説 (岩波文庫)作者: デカルト,Ren´e Descartes,谷川多佳子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1997/07/16メディア: 文庫購入: 31人 クリック: 344回この商品を含むブログ (203件) を見るようやく本書のメインパート、デカルトの形而上学の基礎をなす、…
さて、先にデカルトが定めた4つの原則のうちのひとつには、「わたしが明証的に真だと認めるのでなければ、どんなことも真として受け入れないこと」というものがあった。けれど、はっきり真であるとわからない限り何ものも受け入れられないとなると、とうてい…
もちろん、いったいなにが真実であるのか、真実と誤りとを見きわめるためにはどうすればいいのか、ということについては、古くからさまざまな哲学者たちによって議論が交わされてきていた。ただ、彼らの掲げる見解はなにしろ多様であるので、仮にそのうちの…
ひさびさに、『方法序説』を読み返している。たぶん、大学の授業で読んだとき以来だ。じつをいうと、このごろは小説を読むのがなんだかまどろっこしくて仕方ない――あーもう、こんなの読んで何になるっていうんだ?とかって、すぐささくれた気分になってしま…
ここ数日は、まさに初秋って感じの、暑くもなく寒くもなく、空気は澄んでいて風はゆるやかで太陽の光は穏やかで…っていうような最高の天気が続いている。こんなにいい天気だと、なんていうかその天気のよさを感じているだけで、ちょっと幸せな気分、満ち足り…
9/13、クラブクアトロにてヘルメットのライブ。彼らが15年振りに来日する、って情報を知ったのはたしかライブの1週間ほど前だったから、俺はずいぶんあわててチケットを買ったのだったけれど、番号はまだ200番台前半。うわ、さすがにクアトロでやるにしても…
山田風太郎ってはじめて読んだのだけど、これって忍者版のジョジョだったんだなー、とおもった。たとえば、こんなところがとてもよく似ている。 >> ・いろいろな人知を超えた能力(忍法)を持った忍者たちが、ふたつの陣営に分かれて争う。 ・登場人物は大勢…
DVDで。ごちゃごちゃっとした画面のなかに笑える小ネタがめいっぱい詰まっているのが三木聡作品の特徴だとおもうけれど、今作もまさにそういう映画だった。ひとつひとつのおもしろさはともかくとして、観客としては120分ノンストップで繰り出し続けられる小…
早稲田松竹にて。原作のイメージ、空気感といったものを忠実に再現した、いい映画だったとおもう。奇妙な静けさのなかで、しこりのようにただそこに在り続ける、絶望と諦念ってやつが、見事に描き出されている。物語後半はもう泣けて泣けて。これは『愛する…
早稲田松竹にて。原題の"Mother And Child"の通り、母親とその子供(娘)の物語だ。物語の中心にあるのは、愛する人と別れること、そして、一度は別れてしまった愛する人のことを、なお求めずにはいられないこと、この2点だと言えるだろう。"愛する人"は母親…
DVDで。自分のなかでひさびさにウッディ・アレンブームがきているので、見ていなかった最近の作品もチェックしてみることにした。主人公の青年(ジョナサン・リース=マイヤーズ)は、金持ちの令嬢といい仲になり、いわゆる人生の成功をその手に掴みかけるの…
DVDで。とことんウッディ・アレンらしい、とう感じの作品だった。饒舌でちょっとエキセントリックな登場人物たち、深刻な状況になっても決してシリアスにはなり過ぎない物語のムード、軽やかなユーモア、暖色系の画面。作品全体からにじみ出る、オトナの余裕…
ちょっと前に話題になっていた一冊。ざっくりとした内容としては、RPGや『ウォッチメン』、『AKIRA』を愛してやまないナードな青年、オスカーを主軸として、ドミニカ共和国におけるトルヒーヨ独裁の歴史を交えながらその家族の物語が語られていく、という感…
坪内祐三の推薦文が書かれた帯(↑)が衝撃的な本作だけど、これはなんていうかもう、ほんとにかなりしょうもない小説!なにしろ、J太郎氏本人がモデルとおぼしき40がらみのおっさん(元・プロレス実況解説者)が、宇宙人の侵略から地球を守るための地下組織…
ジェイ・マキナニーの98年作。登場人物たちの会話やら品評やらのシニカルさと、その裏に潜んだナイーブさとが売りのマキナニーだけど、本作でもそれは変わらない。プロット自体は単調で、どちらかと言えば退屈なくらいなのに、なんとなくずんずん読めていっ…
7/31(日)、目が覚めたのは8:30くらいだっただろうか。体調がばっちり回復していることを確認し(やっぱりちゃんと寝るって大事)、朝食のバイキングもゆっくりしっかり食べて、トイレも済まし、万全の状態で宿を出る。シャトルバスはそこそこ並んだけれど…
7/29(金)、20:00前には仕事を切り上げて、ダッシュで家に帰ってシャワーを浴びて、新宿発の夜行バスに乗り込んだ。隣の席になった兄ちゃんと、どうも今年は雨っぽいですよねー、やーでもちょっとくらいは晴れてほしいっすねー、あしたのファウンテンズとか…
7月22日、シアターpooにて豊田道倫のライブ。シアターpooに来るのはたぶん2年ぶりくらいだろうか。会場に向かいながら、甲州街道の沿いの景色のぐちゃっとした感じや、雑居ビルのぱっとしない鉄の階段を上る感じがなんか好きだな、とずいぶんひさしぶりにお…
こういうタイトルの作品は、いまの季節にこそ読まなくっちゃね!とおもって買ってきた。少年と少女のさわやかな恋愛の模様を描きつつも、周りの世界――太陽の光を受けてきらきらと輝く、海辺の町――があれよあれよという間に姿を変え、最終局面を迎えていって…
『キッズ・オールライト』]に出ていたミア・ワシコウスカを見て、あっ俺そういえばアリスの映画見てなかったじゃんね!とおもい出して借りてきた。ティム・バートン×不思議の国のアリス、ってこれ以上ないくらいフィット感のある組み合わせの割には、ずいぶ…
自他共に認める"世界最高のベーシスト"にして、すべてのベーシストにとっての永遠の憧れ、フレットレス・ベースの神、ジャコ・パストリアスについての一冊。ジャコ本人と、その周辺にいた人々へのインタビューが数多く収録されていて、ジャコへの愛に満ち満…
DVDで。いやー、この雰囲気はソフィア・コッポラならではだろう。透明で涼しげで軽やかでおしゃれで、でもその底のところにはどうにもできない程のけだるさ、倦怠感がある、っていうこの感覚が味わいたくて俺はソフィア・コッポラの映画を見ている気がする。…
6月25日、ビルボードライブ東京にて。こいつはほんとに最高だったー!1975年の超名盤、『Who Is This Bitch, Anyway?』の録音メンバーが集っての、まさにドリームバンドによるライブ。ボーカルのマリーナ・ショウをはじめ、ギターのデヴィッド・T・ウォーカ…
池袋シネマ・ロサにて。長いあいだ見たい見たいっておもい続けてようやく見れた本作だけど、んー、評判ほどじゃなかったかなー、というのが正直な感想。運よく"白鳥の湖"の主役に抜擢されたバレエダンサー、ニナだったが、今回の公演では「白鳥」と「黒鳥」…
キッズ・オールライト (字幕版)発売日: 2013/11/26メディア: Prime Videoこの商品を含むブログを見る池袋シネ・リーブルにて。これはいい映画!ジュリアン・ムーアが出ているのでチェックしようとおもったのだけど(彼女の出演作の選び方っておもしろい)、…