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『トラスト・ミー』

トラスト・ミー

トラスト・ミー

  • エイドリアン・シェリー
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ザ・シネマメンバーズにて。インディ感の溢れまくる小品だった。社会にまるで馴染めない不器用すぎる青年と、うっかり妊娠してしまった少女が出会う。青年は父親に虐待されていたし、少女は母親に搾取されるような生活を送っていた。それぞれ子供に依存する親を持ちながら、そこから抜け出すことができずにいたふたりはやがて、恋というよりは共感とか共振とでもいうような感じで、互いに惹かれあうようになるのだったが…!

物語は終始鬱々としていて、閉塞感が強く、とにかく暗い。描写はオフビートでユーモラスな感じもあって、ちょっとジャームッシュ作品のような雰囲気もあるのだけれど、でもダークであることには変わりがない。また、映像は全体的に青みがかっていて、主人公ふたりの若さゆえのヒリつくような感覚、自分を持て余しているような痛々しさを強調するようでもある。そんな暗さや痛みに満ちた物語のなかで、ふたりの心が触れ合うような瞬間の美しさが描かれていて、それは本当に数少ない瞬間ではあるのだけれど、それだけに強く印象に残る。

互いに惹かれ合った結果、青年は結婚と子供に希望を見出そうと試み、少女は中絶や勉強、自活のための準備を少しずつ進めていこうとする。この方向性の違いが残酷でありながらも妙にリアルで、互いに結びつくようなものがあるふたりであっても、選択しようとする未来やかんがえ方がぜんぜん違うことってよくあるよなー、とおもったりした。

正直、そこまで好みな作品ではなかったけれど、エイドリアン・シェリー演じる主人公の女の子の、水色のシャツワンピ+大きめのスタジャン+サーモントフレームの丸眼鏡、という格好は最高にキュートだった。彼女の魅力でこそ成立している映画、と言ってもいいかもしれない。