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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2009-01-01から1年間の記事一覧

豊田道倫 with 昆虫キッズ@渋谷o-nest

29日。o-nestにて、豊田道倫と昆虫キッズのライブ。年末に豊田のライブを見ると、あー今年ももう終わっちゃうんだなあって実感したり、またちゃんと見れてよかったなー、なんてしみじみおもったりもするのだけど、今回はそんなセンチメンタルな気分を一息で…

『宇宙舟歌』/R・A・ラファティ

ホメロスの『オデュッセイア』を下敷きにした、奇想天外でクレイジー、危機また危機って物語のくせにとにかくドキドキさせられることのない、脱力SF。なのだけど、それでいて延々と読んでしまうようなおもしろさもちゃんとあって、頭のよさとセンスのよさを…

『灯台守の話』/ジャネット・ウィンターソン

これはすごくよかったなー。全編に漂う、凍える夜や小さな光、静かな海のイメージが印象に残る、素敵な小説だった。舞台はスコットランド北西部。寒々しく、何もないような荒涼とした土地で、母を亡くした少女シルバーは盲目の灯台守の老人、ピューに引き取…

『曲がれ!スプーン』

新宿バルト9にて。このタイトルすき!しかもエスパーとかがいっぱい出てくるコメディってぜったいたのしいに決まってるじゃんね!っておもって見に行ったのだけど、かなり小粒な、映画っていうよりはTVドラマに近い感じの作品だった。と言っても、ぜんぜんつ…

『水と水とが出会うところ』/レイモンド・カーヴァー

もう何もかんがえたくない、何もしたくない。だってもう眼はしばしばするし、首はぐきぐき、頭の奥のほうなんかじわじわと痺れてきてる、って状態でオフィスを出るこんな夜は、どうしても肉が食べたくなってしまう。中央線を降り、駅前の商店街を歩いてねぎ…

サンデー・モーニング

冬の日の晴れた朝が好きだ。それが何にも予定のない休日で、うまいこと早起きできた朝ならもっといい。冷たい空気も薄水色の空も、枯れた木の枝も、コートやブーツの重さも心地よくて、親密な感じがするから。昨日の雨で空気中の塵がすっかり流されてしまっ…

『クリスマス・テロル invisible×inventor』/佐藤友哉

昨年はじめて『フリッカー式』を読んで、そこから順番に鏡家サーガを読み進めていったのだけど、4作目のこれがいままでのなかでいちばん好きだな、とおもった。短いながらも登場人物たちの壊れっぷり、やけっぱちな感情の暴走っぷりは迫るものがあるし、小…

Super Furry Animals@SHIBUYA-AX

去年のサマソニ以来のSFA来日!ってわけで、有給をとって万全の態勢で臨んだ超もじゃもじゃ動物たちのライブ。今回も期待を裏切らないたのしさで、とてもよかった。彼らのライブを見るのはもう4回目になるけど、例によって会場内はまったりムード、曲はちょ…

『読書からはじまる』/長田弘

詩人、長田弘のエッセイ。“本”とは、“読書”とは、人間にとっていったいどんな存在であるのか、もう一度かんがえ直してみよう、という感じの一冊。いわゆるその辺の読書論みたいなのと少し違っているのは、本という文化についてちょっとひとこと言いたいのだ…

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』

DVDで。去年の春に映画館でも見たので、見るのは2度目になるのだけど、またしてもすっかりやられてしまった。俺はポール・トーマス・アンダーソンの映画にはずれなし!とおもっているくらいのファンだけど、ここまで圧倒的な迫力をもった作品っていうのはい…

『闇の奥』/ジョゼフ・コンラッド

黒原敏行による新訳。ぞくぞくするような語り口が魅力的な、濃密でパワフルな中編だった。ベルギーによるコンゴの植民地化によって原住民とヨーロッパ人の双方が被ることになった不気味な変化を探ろうとする、ポスト・コロニアリズム的な小説として有名な本…

『ルート350』/古川日出男

本がそれなりに好きな人なら誰しも、おいおいここに書いてあるのってまさに自分のことじゃん!とか、自分のなかにあるもやもやした気持ちのことをなんてうまく言葉にしてるんだろうこの文章は!なんて感じたことがあるんじゃないだろうかとおもう。そんな感…

『Never Cry Another Tear』/Bad Lieutenant

ニュー・オーダーのバーニーの新バンド、バッド・ルーテナントのデビュー作。どうせニュー・オーダーじゃないし…って、俺はスルーしてしまうつもりでいたのだけど、渋谷のタワレコでこのアルバム一曲目のイントロがかかった瞬間、これは!バーニーのメロディ…

『サマーウォーズ』

サマーウォーズ発売日: 2018/04/25メディア: Prime Videoこの商品を含むブログ (2件) を見る吉祥寺バウスシアターにて。映画館に行くのがかなり久々だったせいか、劇場の雰囲気に妙にわくわくしながら見てしまった。ポップで明るい、シンプルながらもていね…

はてなダイアラー映画百選(『黒猫・白猫』(その2))

黒猫・白猫 スペシャル・エディション [DVD]出版社/メーカー: キングレコード発売日: 2009/12/09メディア: DVD購入: 3人 クリック: 17回この商品を含むブログ (18件) を見るすっかり遅くなってしまったのだけど、(申し訳ないです…)id:room_42さんからいた…

『イー・イー・イー』/タオ・リン(その2)

『イー・イー・イー』はシニカルかつセンシティブな雰囲気を持った小説だと先日書いたけれど、それと同時に、超くだらないオフビートでダウナーなギャグをちょいちょいかましてくる作品でもあった。もうほんとどうでもいいけど、でも妙におかしい、って箇所…

『イー・イー・イー』/タオ・リン

大学を無事に卒業して一度はちゃんと就職したもののすぐに辞めてしまい、ドミノ・ピザでだらだらと働きながら、いかんともしがたい倦怠感や寂しさ、ネガティブ感をいつもいつももてあましているフリーターのアンドリュー@フロリダの物語。

KAREN@下北沢Club Que

9月22日、下北沢にて、KARENの2ndアルバム『Sunday Girl in Silence』のレコ発ライブ。KARENのことを知ったのは、数年前に他のバンド(たぶんSmoosh)をお目当てに見に行ったときにたまたま対バンで出ていたからで、見るのはこれで3回目になるけど、ワンマ…

『煙か土か食い物』/舞城王太郎

ひさしぶりに舞城王太郎のデビュー作を読み返していたのだけど、やっぱりすっげーおもしろいな!とおもった。とにかく無敵で行く手を阻むもの全てを吹っ飛ばしていく魅力的なキャラクターと、その内言を圧倒的な勢いで繰り出していく饒舌過ぎる文体が最高だ。

日記を書くこと(その4)

時間がないとか忙しいとか言っているのはみっともない、っておもっているけど、でも正直この頃は毎日がなかなかハードで、この日記を書くための時間や集中力をうまくひねり出せないでいる。本を読んだり映画を見たり、音楽を聴いたりはしているのだけど、俺…

菊地成孔・山下洋輔デュオ@新宿PIT INN

菊地成孔3daysの1日目。ピットインの小さなハコは相変わらずのぎうぎう詰めで、ライブが始まるまえからすでにちょっと息苦しい、酸素の足りないような感じがある。この日は雨も降っていたから湿気もなかなかのもので、会場のコンディションとしては正直い…

夏休み日記 09(その4)

8.28 早朝、岡山を出て山陽/東海道本線に乗っかって岐阜に向かう。今年も叔父さん家に泊めてもらうことにしたのだ。13時には岐阜駅に到着し、駅のミスドで叔母さんと一学年分大きくなった従姉妹のチビッコさんたち2人(小4♀・小1♀)とごはんを食べて、車で家…

夏休み日記 09(その3)

8.27 5時頃起床。曇天。もう雨の降り出しそうな気配がむんむんなので、チャリで島を回るのはあきらめることにする。昨夜ちょびっとずつ仲良くなった同部屋の人たちと別れ、朝いちのバスに乗ってまずはベネッセミュージアムに向かった。館内にはほとんど人気…

夏休み日記 09(その2)

8.26 予定通り早朝に大阪に到着。空は曇っていていまいちぱっとしない天気だけど、気にせず電車でがんがん西へ向かっていく。姫路で一服して朝食をとった以外は休むことなく移動して、12時頃には岡山を過ぎ、茶屋町に着いた。ここから宇野線に乗れば、もう直…

夏休み日記 09(その1)

8.25 学生でなくなったって、夏休みが欲しい!ってことで、あしたから特別休暇を3日間とって、今年も軽く一人旅をすることにした。いちおうの目的地はきのう決めたのだけど、瀬戸内海の直島。安藤忠雄の設計した美術館とかで結構有名な、でもきっと超田舎な…

SUMMER SONIC 09

書くのがすっかり遅くなってしまって、もう夏も終わりな雰囲気のこの頃だけど、サマソニのこともメモ程度には残しておかなきゃ、っておもったのでいまさらながらも書いておくことにする。行ったのは3日目だけだったけど、それでもうじゅうぶん過ぎるくらい…

『スクール・オブ・ロック』

DVDで。見るのは2度目だけど、やっぱり最高すぎる…!生き生きと動く子供たちに、生き生きと動きすぎるジャック・ブラック。そしてロック!ってもう、出てくる要素のことごとくが俺の心のドアをノックしまくりなわけで、こんな作品を見せられたら幸せになるし…

『ひと月の夏』/J・L・カー

1920年の夏、イングランド北部の村にやって来た第一次大戦の負傷兵と村の人々との交流を描いた作品。負傷兵の青年は教会の壁画修復を仕事にしており、夏のひと月ばかりのあいだだけ村に滞在する。彼は壁画を復元したり村人の子供たちとたわむれたり、牧師の…

『エレファント』

DVDで。アメリカのコロンバイン高校での銃乱射事件をモチーフにして作られたこの映画で描かれるのは、なんとも救いのない物語だ。いや、物語っていうのは少し違うかな。なにしろこの作品にはほとんど描写しかないのだから。とにかくカタルシスとかストーリー…

"Keep The Cosmic Trigger Happy"/Super Furry Animals

ウェスタン・ラインを降りて きみに会いにやって来たよ 飲む時間を稼ぎたくて タクシー拾っちゃったんだ うーん盛り上がってるな 高揚してこない? ちゃちな法律の手なんてぼくらには届かないんだ これがぼくが生き続ける理由 他のみんなが誘惑に逆らえると…