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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『光車よ、まわれ!』/天沢退二郎

小説家にして詩人、そして宮沢賢治研究者でもある天沢退二郎によるファンタジー。巻末の“解説”で三浦しをんがこの作品に対する熱いおもいをほとばしらせているけど、たしかにこれは一風変わった、でも児童文学の良質なエッセンスが詰め込まれた小説だとおも…

さかなクンをリスペクトしよう!

俺はさかなクンをリスペクトすべきなのではないか。そうかんがえるようになったのは、柴崎友香特集の『文藝』で柴崎といしわたり淳冶(元SUPERCAR)が対談をしているのを読んだのがきっかけだった。対談のなかでいしわたりがカッコイイカッコイイって言って…

『トウキョウソナタ』

恵比寿ガーデンシネマにて。うん、評判通りおもしろかった!いまの東京における平凡な一家族の崩壊とその後のごくかすかな再生の兆しを描く、って感じの作品。まず脚本がいいし、香川照之をはじめとする役者陣の演技も光っている映画だったとおもうけど、そ…

『LOVE』/古川日出男

三島由紀夫賞受賞作。現代の東京を舞台とした、短編っぽい雰囲気を持った4つの物語と4つの間奏からなる小説だ。時間のあるポイントに的をしぼり、そこでの人々の刹那的な邂逅を描いた群像劇。手法的には、作中の人物が2人称の語り手として登場することだった…

『母は娘の人生を支配する――なぜ「母殺し」は難しいのか』/斎藤環

なかなか強烈なタイトルの本だけど、興味深く読めた。母ー娘という関係性のなかで生じる支配ー被支配の問題、女性独特の身体感覚や母性といった要素を中心に、「母殺しの不可能性」がどうように成立しているのか、を解き明かしていこうとする母娘論。論の展…

『ルー・リード/ベルリン』

吉祥寺バウスシアターにて。『ベルリン』は、ルー・リードが1973年に発表し、しかし商業的な失敗のためかライブではずっと封印されていたアルバム。その『ベルリン』が、33年の時を経た2006年のニューヨークで完全再現されることになって、そのときのライブ…