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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『また会う日まで』/ジョン・アーヴィング

アーヴィングの小説のテーマは、昔から(『ガープの世界』、以降)すごく一貫している。時間の流れを描くことだ。そのディケンズ的に長大な物語のなかで、登場人物たちは、時とともに何度も浮かび上がってくる、過去の傷や因縁と対峙しなくてはならない。世…

『ナチュン』/都留泰作

都留泰作のマンガ、『ナチュン』の1,2巻を読んだ。おもしろいなーこれ!沖縄を舞台に、ファンタジー系のモチーフ、とくに、SF的なガジェットがいろいろと出てくる。でも、それらは物語世界のなかにさりげなく溶け込んでいて、じっさい主に描かれているのは、…

『ウェブ時代をゆく――いかに働き、いかに学ぶか』/梅田望夫

うーん、熱い。オプティミズムが貫かれたビジョンや性善説につくことの重要性を説きつつ、サバイバルすることがなによりだいじ、って姿勢はとても納得できるし、好感がもてる。読んでいると、ついついテンションが上がってしまう。梅田氏はなかなか大したア…

『アルケミスト』/パウロ・コエーリョ

パウロ・コエーリョ『アルケミスト』を読んだ。小説というより、ほとんど寓話かな。構築された物語というより、ただ、話がある、という感じだ。全体的に箴言みたいなのが多くて、ちょっと教条主義じみたところもあるけれど、読者の感情を支配したい、という…

『図鑑に載ってない虫』

図鑑に載ってない虫 完全攻略版(2枚組) [DVD]出版社/メーカー: Victor Entertainment,Inc.(V)(D)発売日: 2007/11/23メディア: DVD『イン・ザ・プール』に続けて、早稲田松竹にて。こっちはもう、文句なしにすばらしい出来だった!スマッシング!図鑑に載って…

『イン・ザ・プール』

早稲田松竹にて。三木聡監督の映画ははじめて見たのだけど、なかなかよかった。松尾スズキ演じる精神科医と、その患者(オダギリジョー、市川実和子、田辺誠一)とのからみがメインのコメディ。いわゆる“ビョーキ”をテーマに扱っているのだが、まったくシリ…

『熊の場所』/舞城王太郎

舞城王太郎の小説というと、まずはその言葉づかいやキャラクター、ストーリー展開の強烈さ、ひたすらに饒舌な文体のすばらしいドライブ感、といった要素があげられるだろう。いっけんむちゃくちゃで作品世界はわけのわからない混沌になっているっぽいのだけ…

『スターダスト』

渋谷シネタワーにて。俺はクレア・デインズがすきなので見に行ったのだけど、とてもよかった。ただ、正直いって完成度が高いわけでも、斬新な要素があるわけでもないので、ぜんぜんクソ映画じゃんこんなの、っていう人もおおいんじゃないだろうかとはおもう…

『僕が戦場で死んだら』/ティム・オブライエン

ベトナム戦争に従軍した経験を持つアメリカの作家、ティム・オブライエンが書くのは、いつも戦争についてだ。この処女作において語られる物語も、ベトナムでの経験がベースにあるものなのだろうけれど、とにかく印象に残るのは小説全体から立ちあがってくる…

Super Furry Animals@LIQUIDROOM(2日目)

2日目にも行ってきました!1日目とほとんど同じ内容だったけど(MCはちょっと減ってたかも)、やっぱりたのしかった!セットリストはたしかこんな感じ。↓ The Gateway Song Runaway She's Got Spies Golden Retriever Do Or Die Northern Lites Into The Nig…

Super Furry Animals@LIQUIDROOM(1日目)

Super Furry Animalsのライブ@恵比寿リキッドルームに行ってきました!!いやーよかった!会場でたまたま大学の友達に会って一緒に見ていたんだけど、ライブ中も、ライブ後焼肉を食べながらも、ファーリーズよかったねーよかったよー、とひたすら言いあって…

『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』/吉田典生

この本で書かれているのは会社組織の話だったけど、2年ほど前に読んだときに、あーこれっていろいろ応用がききそうだな、とおもっていろいろメモしたりなんかしていて、それをさっき見つけた。今日は、ちょっとそのメモからまとめてみようとおもう。 この本…

『走ることについて語るときに僕の語ること』/村上春樹

最近あたらしく出た、村上春樹がマラソンについて書いたエッセイにこんな文章があった。サロマ湖100キロウルトラマラソンで村上が走っていたときの話。しかし100キロってすごいね! >> こうして我慢に我慢を重ねてなんとか走り続けているうちに、75キロのあ…

『お節介なアメリカ』/ノーム・チョムスキー

チョムスキーがくりかえし批判しているのは、アメリカが9・11以降執拗におこなっている、中東地域への内政干渉(intervention)だ。そこでは「テロとの戦い」という旗印が掲げられてはいるけれど、この本を読むと、むしろアメリカ自身が、自ら定義した「テロ…