2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧
10月4日、池袋芸劇にて、スクロヴァチェフスキ/読響のコンサート。スクロヴァチェフスキは、舞台袖から指揮台まで歩いてくるようすを見ている限りでは、ちょっと不安になってしまうくらいのじいちゃんだったけれど、非常に精密かつパワフルな演奏を作り出し…
前回のエントリには、読みづらさのことばかり書いてしまったけれど、1巻の終盤以降からは、フィールドワークの話が主軸になっていく(そこから、横道に逸れるような形で省察が展開される)ので、だいぶ読みやすくなってくる。レヴィ=ストロースは、南米の「…
悲しき熱帯〈1〉 (中公クラシックス)作者:レヴィ=ストロース中央公論新社Amazon レヴィ=ストロースの思想と方法論とが収められた一冊。1935年から1939年まで、ブラジル奥地のインディオのもとに赴いて行ったフィールドワークの記録と合わせて、彼が「いかに…
『嵐が丘』を読む作者:川口 喬一みすず書房Amazon 『嵐が丘』に関するさまざまな文学批評、読みの方法が取り上げられた一冊。さすが古典と言うべきか、ロマン主義の表現主義的批評から始まって、リアリズム批評やマルクス主義批評、ニュー・クリティシズムや…
前回のエントリでは、本作の登場人物は全員が全員、超エゴイストだという話を書いたけれど、『嵐が丘』を『嵐が丘』たらしめているのはやはり、ヒースクリフという人物の造形だろう。彼の復讐にかける異様なほどの執着心こそが、本作全体の激烈さの震源地な…
いやーおもしろかった!さすがは古典中の古典、これを読んで何の感興も抱かない人などどこにもいないだろう、っておもえるくらい、パワフルで心揺さぶられずにはいられない、文字通り嵐のように激しい小説だった。物語の舞台は19世紀のイングランド北部、ヨ…
ひとことで言うなら、ティーンエイジャーの鬱屈した内面を「超能力」というツールを用いることによっておもいっきり肥大化させ、その痛みや閉塞した感覚を描き出した、という感じの作品だ。プロットに関してはおおよそ予想の範囲内だったけれど、物語のクラ…
マックス・ヴェーバーが1919年に行った講演を文章化した一冊。80ページ程度の薄い本だけれど、内容は濃密で、なかなかおもしろく読めた。 かつて、学問というものは、「真の実在」や「真の芸術」、「自然の真相」、「真の神」、あるいは「真の幸福」への道で…
こうしてお前は彼女にフラれる (新潮クレスト・ブックス)作者: ジュノ・ディアス,都甲幸治,久保尚美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/08/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (17件) を見る 前作『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』にも出てきたユ…
「かしこい」お姫様、アリーテ姫が、男たちの悪巧みをひらりひらりとくぐり抜け、強く、どこまでも自然体のままで生きていく…という童話。古色蒼然とした「お姫様」像を塗り替える、頭脳派で行動派、プラス思考なヒロインが魅力的な物語だ。 「姫、おまえが…
たのしいムーミン一家 (ムーミン童話全集 2)作者: トーベ・ヤンソン,Tove Jansson,山室静出版社/メーカー: 講談社発売日: 1990/06/22メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 16回この商品を含むブログ (16件) を見る 「ムーミン童話全集」の二冊目。ある春の日…
風立ちぬ [DVD]出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社発売日: 2014/06/18メディア: DVDこの商品を含むブログ (122件) を見る 109シネマズ木場にて。宮崎駿のいままでの作風とはずいぶんと異なる作品だった。前評判は「大傑作!泣けちゃう…
ときおり、「読みたい本リスト」というやつを更新したくなる。リストにはとにかく本の名前が大量に並んでいるので、すぐに自分でも内容が把握できなくなる(だから、じっさいのところ、いまいちうまく機能していない…)のだけれど、本読みのモチベーションを…
終章「<生>が労働になるとき」は、全体のまとめ的な内容の一章だ。新自由主義的な言説、新自由主義的なコモンセンスが醸成されるに至った理由と、それらを打破するための方策について、改めて考察がなされている。 「自己実現」、「労働の喜び」、「やりが…