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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2007-01-01から1年間の記事一覧

豊田道倫 ニューアルバム『しあわせのイメージ』発売記念コンサート@Shibuya O-Nest

今年の締めはこれ。いいライブだったなー。かっこいいライブだった。しっかりと地に足がついていて、むきだしで、それでいて夢見がちな音楽だとおもった。豊田道倫の歌っていうと、歌詞からしてとても私的なイメージがあるのだけど、このライブでは強靭なバ…

『肝心の子供』/磯崎憲一郎

もうあちこちで散々言われていることだとおもうけど、この小説はすごい!!すっごいおもしろい!!おもしろいことだけは、まったく明白なのだけど、でも、そのおもしろさとはどういったものなのか、どうにもうまく表せない。たぶん、そこがすごい。いったい…

『マンダレイ』

『ドッグヴィル』につづく、ラース・フォン・トリアー監督の“アメリカ3部作”の第2作目。前作ほどの衝撃はなかったけど、これまた非常にかんがえさせられる映画で、おもしろかった。前作が人間の普遍的ともいえるような弱さや愚かしさを中心に描いていたのに…

『ドッグヴィル』

DVDで。見たのは2回目なのだけど、あらためて、俺はこの映画がすごくすきだとおもった。人の醜い部分がいっぱい描かれる、なかなか嫌な気分になる作品ではあるのだけど、見終わった後には、それだけでは言い尽くせない、なんとも複雑な感情が残るし、ひどく…

スターバックス武蔵境イトーヨーカドー店にて

ジョン・レノンの"ハッピー・クリスマス"が流れている。となりのテーブルにははがきがたっぷり積んであって、大学生くらいの女の子が年賀状を書いている。水彩絵の具で、抽象的な模様がうっすらと描かれているのが目に入った。かっこいいデザイン。おまけに…

『夕凪の街 桜の国』/こうの史代

いまさら俺が言うようなことではないのかもしれないけど、これはむちゃくちゃすばらしい作品だ。そして、きわめて重要な作品でもある。ほんと、もっと早くに読んでおけばよかった。この漫画は、いま、広島についてどのように語ることができるのか、という問…

遠慮せず帰る

バイトで、週3ペースで小6の男の子の家庭教師をしている。中学受験生だ。その子には、俺よりもずっと前からやっているメインのベテランの女の先生と、さらにもうひとり先生がついている。だから、ひとりの小学生に対して3人のかてきょがいる、というわけだ。…

『ゴッドスター』/古川日出男

おもしろかった!この小説では、主人公の女性の視点から、すべての事象が語られている。そのことばの連なりにはここちよいグルーヴ感があって、読んでいて、ごく単純にたのしい。ことばのリズム自体は、するするっと読めていってしまうような感じなのだけど…

『ブラウン・バニー』

DVDで。バイクレーサーの主人公(ヴィンセント・ギャロ)が、かつての恋人(クロエ・セヴィニー)へのおもいを胸に、東海岸からカリフォルニアへとむかうロードムービー。非常に淡々としていて、ストーリーの盛り上がりなんかは皆無に近い。道路とギャロの横…

マクドナルド渋谷丸井店にて

渋谷にはマックがいくつかあるけど、どのマックでも、その2階から外を見るのがすきだ。窓に向かってカウンター席が並んでいて、座っていると外の様子が見下ろせる。空気が澄んでいるせいか、窓がぴかぴかなせいか、景色や道行く人がくっきりとしている。マッ…

『「三十歳までなんか生きるな」と思っていた』/保坂和志

「三十歳までなんか生きるな」と思っていた作者:保坂 和志草思社Amazonこの本のなかに、 死者を丁寧に葬り、きちんと喪に服すというのは、人間が人間として存在するための条件なのだ。人間はただ生きているだけではなくて、死んだ後も含めた漠然とした広がり…

「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」/ポール・オースター

なんとかゼミの発表も切り抜け、あと1こレポートを書いたら冬休み。やったー。って書いてみても、べつにあんまり気分は盛り上がらない。なにしろ、俺はふだんから大して授業にも出てない、だめ大学生なのであって、休みだろうが休みじゃなかろうがあんまり日…

今日やったのはランナウェイ

金曜にゼミで自分の発表があるので、早いとこレジュメを作ってしまわなくてはならない。でも、こういうときって、気は焦りまくっているのに、もう必ず、100パーセント、逃避行動に出てしまう。俺はほんとに昔からそうだ。やらなきゃいけないことがあると、焦…

菊地成孔コンサート2007 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール@オーチャードホール

ペペ・トルメント・アスカラールは、ピアノ、サックス、バンドネオン、ハープ、弦四、ウッドベース、パーカッション×2という11人編成の、「現代音楽とラテンラウンジを繋ぐストレンジ・オーケストラ」。そして、そのコンサートの特徴は、なんといっても、ば…

『ブロークン・フラワーズ』

DVDで。これ、すっごいよかった!昔プレイボーイでならした中年独身男(ビル・マーレイ)のもとに、じつはあなたの息子がいるの、という手紙が届く。差出人は不明。男は友人のすすめるままに、昔の恋人たちをたずねる旅に出ることにする、というストーリー。…

『自由な女神たち』

DVDで。原題は『Polish Wedding』ということで、デトロイトのポーランド系一家を描いたホームドラマ。ポーランド系、っていうエスニシティ要素の出し方はわりとあざとい感じ(ピクルス、煙草とか)で、どのくらい正確に描かれているのかはよくわからないんだ…

『犯人に告ぐ』

新宿シネマスクエアとうきゅうにて。雫井脩介の小説が原作のサスペンス。 作品についてなにかを語ろうとするなら、そのいいところを引き出すように努力すべきだとおもうのだけど、残念なことに、俺にはこの映画独自のよさ、なんてものはほとんど感じられなか…

『二十四時間の情事』

これは大学のゼミで見た。原題は、『Hiroshima, mon amour』。 1959年、戦争の傷跡を残しつつも、復興の兆しを見せてきている広島が舞台。まともに描かれる登場人物は、日本人の建築家の男と、フランス人の女優(反戦映画のロケに来ている)の2人だけだ。映…

『また会う日まで』/ジョン・アーヴィング

アーヴィングの小説のテーマは、昔から(『ガープの世界』、以降)すごく一貫している。時間の流れを描くことだ。そのディケンズ的に長大な物語のなかで、登場人物たちは、時とともに何度も浮かび上がってくる、過去の傷や因縁と対峙しなくてはならない。世…

『ナチュン』/都留泰作

都留泰作のマンガ、『ナチュン』の1,2巻を読んだ。おもしろいなーこれ!沖縄を舞台に、ファンタジー系のモチーフ、とくに、SF的なガジェットがいろいろと出てくる。でも、それらは物語世界のなかにさりげなく溶け込んでいて、じっさい主に描かれているのは、…

『ウェブ時代をゆく――いかに働き、いかに学ぶか』/梅田望夫

うーん、熱い。オプティミズムが貫かれたビジョンや性善説につくことの重要性を説きつつ、サバイバルすることがなによりだいじ、って姿勢はとても納得できるし、好感がもてる。読んでいると、ついついテンションが上がってしまう。梅田氏はなかなか大したア…

『アルケミスト』/パウロ・コエーリョ

パウロ・コエーリョ『アルケミスト』を読んだ。小説というより、ほとんど寓話かな。構築された物語というより、ただ、話がある、という感じだ。全体的に箴言みたいなのが多くて、ちょっと教条主義じみたところもあるけれど、読者の感情を支配したい、という…

『図鑑に載ってない虫』

図鑑に載ってない虫 完全攻略版(2枚組) [DVD]出版社/メーカー: Victor Entertainment,Inc.(V)(D)発売日: 2007/11/23メディア: DVD『イン・ザ・プール』に続けて、早稲田松竹にて。こっちはもう、文句なしにすばらしい出来だった!スマッシング!図鑑に載って…

『イン・ザ・プール』

早稲田松竹にて。三木聡監督の映画ははじめて見たのだけど、なかなかよかった。松尾スズキ演じる精神科医と、その患者(オダギリジョー、市川実和子、田辺誠一)とのからみがメインのコメディ。いわゆる“ビョーキ”をテーマに扱っているのだが、まったくシリ…

『熊の場所』/舞城王太郎

舞城王太郎の小説というと、まずはその言葉づかいやキャラクター、ストーリー展開の強烈さ、ひたすらに饒舌な文体のすばらしいドライブ感、といった要素があげられるだろう。いっけんむちゃくちゃで作品世界はわけのわからない混沌になっているっぽいのだけ…

『スターダスト』

渋谷シネタワーにて。俺はクレア・デインズがすきなので見に行ったのだけど、とてもよかった。ただ、正直いって完成度が高いわけでも、斬新な要素があるわけでもないので、ぜんぜんクソ映画じゃんこんなの、っていう人もおおいんじゃないだろうかとはおもう…

『僕が戦場で死んだら』/ティム・オブライエン

ベトナム戦争に従軍した経験を持つアメリカの作家、ティム・オブライエンが書くのは、いつも戦争についてだ。この処女作において語られる物語も、ベトナムでの経験がベースにあるものなのだろうけれど、とにかく印象に残るのは小説全体から立ちあがってくる…

Super Furry Animals@LIQUIDROOM(2日目)

2日目にも行ってきました!1日目とほとんど同じ内容だったけど(MCはちょっと減ってたかも)、やっぱりたのしかった!セットリストはたしかこんな感じ。↓ The Gateway Song Runaway She's Got Spies Golden Retriever Do Or Die Northern Lites Into The Nig…

Super Furry Animals@LIQUIDROOM(1日目)

Super Furry Animalsのライブ@恵比寿リキッドルームに行ってきました!!いやーよかった!会場でたまたま大学の友達に会って一緒に見ていたんだけど、ライブ中も、ライブ後焼肉を食べながらも、ファーリーズよかったねーよかったよー、とひたすら言いあって…

『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』/吉田典生

この本で書かれているのは会社組織の話だったけど、2年ほど前に読んだときに、あーこれっていろいろ応用がききそうだな、とおもっていろいろメモしたりなんかしていて、それをさっき見つけた。今日は、ちょっとそのメモからまとめてみようとおもう。 この本…