2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧
いわゆるラブストーリーのプロットを持つ本作だけれど、彼らの出会いや、恋に落ちて別れるまでのプロセスといったものが具体的に描かれているというわけではない。この映画で扱われているのは物語というより、禁じられた恋の情緒、詩情とでもいうべきものな…
ドストエフスキー全集〈第1巻〉 (1963年)作者: 小沼文彦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1963メディア: ?この商品を含むブログを見る プロハルチン氏は、家族もいなければ友達もいない、貧しい下級官吏の老人である。貧しいといっても、役所勤めもそれなり…
ちょっぴりマイナーな、ドストエフスキーの第2作目。その名の通り、いわゆる「分身小説」だ(俺が読んだのは岩波文庫の小沼文彦訳『二重人格』だけれど、訳によっては、タイトルを『分身』としているものも多い)。主人公のゴリャートキン氏は九等官の役人。…
本書は、ぶっとんだライフスタイルでおなじみの高城剛が、海外をあちこち飛び回る放浪生活を営んでいく上で、これだけはどうしても外せない!と選びに選び抜いたグッズの、コメントつきカタログといった趣の一冊だ。高城の生き方は大抵の人にとってきわめて…
経済の文明史 (ちくま学芸文庫)作者: カールポランニー,Karl Polanyi,玉野井芳郎,石井溥,長尾史郎,平野健一郎,木畑洋一,吉沢英成出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2003/06/01メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 36回この商品を含むブログ (50件) を見る ハ…
DVDで。救いや希望はまるでなく、陰鬱なムードが全体を覆っているものの、美しい映像や凝った構成からは非常な繊細さが感じられる、そんな映画だった。テーマとして扱われているのは、旧ユーゴ紛争の一環で独立したマケドニアの国内における、マケドニア人と…
オースターの小説の主人公は、作者の年齢とともに少しずつ年寄りになってきているけれど、本作の語り手はもうすぐ60歳、壮年期も終わりに差し掛かり、すでに仕事をリタイヤしたおっさんである。そんなおっさんが、オースターの小説の主人公らしく、延々と内…
オースターは、ごく若い頃に友人から安く手に入れたタイプライターをいまだに使い続けている。聞く限りでは、コンピュータというやつはどうも信用ならないもののようだし(間違ったキーを押すと、原稿がいきなり消えてしまったりするっていうじゃないか!)…
トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))作者: フィリパ・ピアス,スーザン・アインツィヒ,Philippa Pearce,高杉一郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/06/16メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 54回この商品を含むブログ (100件) を見る これは素晴…
「おそらく、ファルメライアーは帰還したヴァレフスカ伯爵をひと目見るや、己の敗北を決定的に悟ってしまったのだろう…」だとか、「ファルメライアーの諦めは、自分は戦争という特殊な状況下だったからこそ、伯爵夫人と結ばれることができたのだと強く自覚し…
これもドストエフスキー関連で読んだ一冊。1844年、作家としてデビューする前のドストエフスキーが翻訳した、バルザックの有名作だ。もともとのタイトルは、"Eugénie Grandet"。「人間喜劇」的には、「地方生活情景」に属する作品だ。 フランスの田舎はソー…
(037)駅 (百年文庫)作者: ヨーゼフ・ロート,戸板康二,プーシキン出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2010/10/12メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログを見る またまた『貧しき人びと』関連のエントリになるけど、こちらは、「外套」とは違って、…
鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫)作者: ゴーゴリ,浦雅春出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/11/09メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 24回この商品を含むブログ (59件) を見る 先日エントリを書いた『貧しき人びと』のパロディ元である、ゴーゴリの「…