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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2012-01-01から1年間の記事一覧

『アメリカを占拠せよ!』/ノーム・チョムスキー

アメリカを占拠せよ! (ちくま新書)作者: ノームチョムスキー,Noam Chomsky,松本剛史出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/10/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (11件) を見る チョムスキーの新刊。オキュパイ・ウォール・スト…

『タイガーズ・ワイフ』/テア・オブレヒト

タイガーズ・ワイフ (新潮クレスト・ブックス)作者: テアオブレヒト,T´ea Obreht,藤井光出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/08/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (17件) を見る 旧ユーゴスラヴィアはベオグラード出身、1985年生まれ…

『レ・コスミコミケ』/イタロ・カルヴィーノ

レ・コスミコミケ (ハヤカワepi文庫)作者: イタロ・カルヴィーノ,米川良夫出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2004/07/22メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 47回この商品を含むブログ (97件) を見る 「わしは、あらゆる時間・空間を超えて偏在してきた」と主…

『社会を変えるには』/小熊英二

社会を変えるには (講談社現代新書)作者: 小熊英二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/08/17メディア: 新書購入: 8人 クリック: 352回この商品を含むブログ (71件) を見る 一般市民が政治に参加する方法って、どんなものがある?…そう問われたとき、どんな…

「マーリオと魔術師」/トーマス・マン

トーニオ・クレーガー 他一篇 (河出文庫)作者: トーマス・マン,平野卿子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/01/06メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (8件) を見る 1920年代、ファシズムの支配下にあったイタリアを舞台とし…

「トーニオ・クレーガー」/トーマス・マン

トーニオ・クレーガー 他一篇 (河出文庫)作者: トーマス・マン出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/07/29メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る トーマス・マンの小説って、いままでほとんどまともに読んだことがなかったのだけど、いやー、…

『スローターハウス5』/カート・ヴォネガット・ジュニア

ヴォネガットの長編第6作目。作中、過去の作品の主要なキャラクターたちがたびたび顔を出していることからも明らかであるように、いままでの集大成といった趣の作品である。取り扱われるモチーフは、ヴォネガット自身が体験したという、第2時大戦中のドレス…

『脱資本主義宣言 グローバル経済が蝕む暮らし』/鶴見済

『完全自殺マニュアル』の著者、鶴見済の新刊。タイトル通り、グローバル資本主義経済の蔓延によって引き起こされているさまざまな問題を取り上げている一冊だけれど、これらのややこしい内容が、中高生が読んでも理解できるようなシンプルな文章で書かれて…

『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』

ウォリスとエドワード ?英国王冠をかけた恋? (字幕版)発売日: 2013/11/26メディア: Prime Videoこの商品を含むブログを見る 新宿バルト9にて。マドンナの新作。1930年台と90年台とを行ったり来たりしながら、「世紀の恋」と呼ばれた、英王エドワード8世と恋…

『族長の秋』/ガブリエル・ガルシア=マルケス

ラテンアメリカの文学 族長の秋 (集英社文庫)作者: ガブリエルガルシア=マルケス,鼓直出版社/メーカー: 集英社発売日: 2011/04/20メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (21件) を見る マルケスの代表作といえば、やはりノーベル文学賞…

『新自由主義―その歴史的展開と現在』/デヴィッド・ハーヴェイ(その4)

新自由主義―その歴史的展開と現在作者: デヴィッドハーヴェイ,David Harvey,渡辺治,森田成也,木下ちがや,大屋定晴,中村好孝出版社/メーカー: 作品社発売日: 2007/02/01メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 465回この商品を含むブログ (62件) を見る 新自由…

『新自由主義―その歴史的展開と現在』/デヴィッド・ハーヴェイ(その3)

新自由主義化の第一の達成は、1979年以降のサッチャーとレーガンとに帰せられるのが通例だろう。彼らは、自分たちの改革を、選挙という民主主義的な手段によって実現したわけだけれど、では、彼らはいったいどのようにして多くの民衆から政治的同意を取りつ…

『新自由主義―その歴史的展開と現在』/デヴィッド・ハーヴェイ(その2)

新自由主義のユートピアニズムは、経済エリートの権力回復という目的を正当化するための体系として機能し、利用されてきた、ということだ。経済エリートたちのどれほど多くが、それまで公共の資産であったものを私有化し、商品化することで利益を得ているか…

『新自由主義―その歴史的展開と現在』/デヴィッド・ハーヴェイ(その1)

新自由主義―その歴史的展開と現在作者: デヴィッドハーヴェイ,David Harvey,渡辺治,森田成也,木下ちがや,大屋定晴,中村好孝出版社/メーカー: 作品社発売日: 2007/02/01メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 465回この商品を含むブログ (62件) を見る デヴィ…

Tulipa Ruiz@青山スパイラルレコーズ

先々週の土曜は、BOSSA AOYAMA 2012(08年から毎年青山で開催されているフリーライブイベント。原宿教会とかフランフランとかスパイラルレコーズを会場に、タダでボサノヴァのライブが聴ける。あと、ワークショップとかトークショーとかもある)に行ってきた…

『エリス・レジーナ~ブラジル史上最高の歌手』

渋谷ユーロスペースにて。ドキュメンタリーというより、ライブ映像といった方が近いような作品だった。テレビのスタジオライブの合間に、エリスが自分の身の上や曲の作曲者についてあれこれおしゃべりをするのだ。カメラは彼女の顔のアップかピアノの鍵盤く…

『セブン・デイズ・イン・ハバナ』

セブン・デイズ・イン・ハバナメディア: Prime Videoこの商品を含むブログを見る 渋谷ヒューマントラストシネマにて。キューバを舞台に、7人の監督が7つのエピソードを描いた短篇集映画。どのエピソードにもわりとくっきりとしたストーリーがあるところ、キ…

『始めよう。瞑想 15分でできるココロとアタマのストレッチ』/宝彩有菜

始めよう。瞑想:15分でできるココロとアタマのストレッチ (光文社知恵の森文庫)作者:宝彩 有菜光文社Amazon 瞑想のやり方とその効果について、かんたんにまとめられた一冊。瞑想の手順自体は30ページ程度にまとめられているので、ぱらぱらっと読んだらすぐ…

コトリンゴ@代官山Loop

9/15(土)、代官山Loopにて、コトリンゴとDE DE MOUSEのツーマン。コトリンゴの最近のライブは毎回たのし過ぎるので、超期待して会場入りしたのだったけれど、やっぱりすばらしいクオリティのライブを見せてくれたのだった。 メンバーは、最近ではもはやお…

『おおかみこどもの雨と雪』

おおかみこどもの雨と雪発売日: 2018/04/25メディア: Prime Videoこの商品を含むブログを見る イオンシネマ金沢フォーラス店にて。女子大生の花は、ある男と出会って恋に落ちる。いっけんただの小汚いフリーターに見える男だったが、じつは彼はニホンオオカ…

ブログ移転のおしらせ!

2007年の9月から書き続けていた――そして最近ではさぼり続けていた――当ブログですが、移転することにしました!5年間も使わせてもらったはてなダイアリーにはそれなりにおもい入れもあるのだけど、自分のブログに広告が載っている、っていうのは、なんていう…

『ダークナイト・ライジング』

福山CINEFUKUミラノ座にて。観客は自分を含めて4人だけっていう、がらがらの映画館で見た。本作は、クリストファー・ノーラン監督のバットマンシリーズ3作目にして完結編。前作『ダークナイト』は、そのちょっぴりインテリ風な佇まいが人気の作品だったけれ…

『供述によるとペレイラは……』/ アントニオ・タブッキ

しばらくまえに『インド夜想曲』を読んだときから、タブッキのふわふわと心地よい文体のことが気になっていて、『供述によるとペレイラは……』にも手を出してみた。本作におけるタブッキの文章は、ゆったりとして、装飾や比喩表現も控えめ、ほとんど簡素とも…

『読書力』/齋藤孝

齋藤が本書において主張していることはたったのひとつ、とにかく読め!そして読書力をつけろ!ということのみ。はっきり言って、超明快である。ただ、それをもうとにかくあらゆる方向から幾通りものやり方で読者に迫ってくるわけで、その様はほとんど暑苦し…

『私が、生きる肌』

早稲田松竹にて。人工皮膚開発の権威である形成外科医のロベルは、己の持てる技術のすべてを注ぎ込み、亡くなった妻に瓜二つの美女を作り上げた。ベラと名づけられた彼女は、奇妙な肌色の全身タイツを身につけた状態でロベルの自宅の一室に軟禁されており、…

『シェイム』

「語らないままでおく」ということこそが、本作を"スタイリッシュ"でありつつも、深みを持った作品たらしめているポイントだと言えるだろう。物語のまさに核心の部分を空白のままにしておくことで、主人公たちの抱える問題――それは、"Shame"という題名の通り…

『百年の孤独』/ガブリエル・ガルシア=マルケス

『百年の孤独』におけるガルシア=マルケスは、ものすごい美文家というわけではないし、信じられないほどの構成力を持った作家というわけでもなければ、誰も扱ったことのなかった新しいスタイルの使い手というわけでもない。ストーリーテリングの手法なんかは…

「アウルクリーク橋の出来事」/アンブローズ・ビアス

米ジャーナリスト/作家だったビアスの、おそらくは唯一有名であるとおもわれる作品が、この短編、「アウルクリーク橋の出来事」だ。ある男が橋の上に立っている。周囲には銃を携えた兵隊が多くおり、男の首には縄がまかれている。どうやら彼はこれから絞首刑…

My Morning Jacket@渋谷AX

またまた、3月に見たライブの話。 *3/29、渋谷のAXで、およそ3年ぶりのマイ・モーニング・ジャケット。前回のライブでは、それはもう怒涛のような感動を味わってしまっていたため、自分のなかではいやがおうにもハードルが上がってしまっていたのだけれど、…

青葉市子@原宿Vacant

きょうも、3月に見たライブの話。 *3/18、しっとりとした小雨の降る日曜日に、原宿のVacantにて青葉市子の独奏会。Vacantはログハウスのロフトみたいな雰囲気の会場で、木のぬくもりと薄暗がりのなかのオレンジ色の光がやさしい、おしゃれ感のあるちょっと…