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『実演!バグ/ダイナソーJR』

ダイナソーJr.がオリジナルメンバー3人で復活した後、2011年6月にワシントンDCで行われた、3rdアルバム『BUG』全曲再現ライブの映像。抽選で選ばれたファンたちの手によって撮影された素材が用いられている。だから映像自体はだいぶ粗いのだけれど、それだけに臨場感は十分だし、バンドのインディーな雰囲気にはこのざらっとしてチープな感じがよく似合う。

演奏はアルバムに忠実な感じで、クオリティは文句なし。マーシャルアンプ6台を背にしたJはジャズマスターをかき鳴らしまくり、よれよれの声で歌い叫ぶ。ルー・バーロウは独特なアクションが激し過ぎて、もはやどう弾いているのかもよくわからない。マーフは全編に渡ってスネアをキンキンと打ち鳴らし続ける。見ていて疲れてしまうくらい、ひたすらテンションの高いライブが続いていく。『フリークシーン』の直後に見たものだから、いやーよかったよ3人がちゃんと仲直りしてくれて…とおもわずにはいられなかった。

また、本作は全曲の歌詞の和訳が字幕で表示される、【完全日本語字幕】なるスタイルになっていて、この字幕もテンションが凄かった。機械翻訳ともまた違った、独特の直訳風なおもしろ翻訳になっていて、なんだかいちいち笑えてしまうのだ。ただ、この字幕のおかげで、大体の曲の歌詞がちょっとひねくれた内向的な「僕」を主人公にしたラブソング的な内容であるということが把握できたのはよかった。(正直な話、俺はいままでダイナソーJr.の歌詞の内容をちゃんと気にして聴いたたことがなかった…。)

ライブ本編の最後に演奏された"Don't"は、激しくノイジーなギターと共に、'Why Why don't you like me'というフレーズを延々と繰り返すだけの曲なのだけれど、とくにこの字幕が圧巻で。「どうしてえええぇぇ 僕のことがぁぁぁ 嫌いなのおおぉぉぁぁぁいぇぁぁ」って具合に、ちゃんと1フレーズごとのボーカルの歌い方に合わせて、「おぉぉぉぅ」とか「あああえぇぇいいぃぃ」とか毎回微妙に違う字幕を当ててくるのだ。ダークでシリアスな雰囲気の曲ではあるのだけれど、字幕とのマッチングが面白すぎて――明らかにふざけているのだけど、この字幕がまたなんとも合っているのだ――何度も爆笑してしまった。

バグ

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