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本、映画、音楽の感想など。

『批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く」/北村紗衣

イギリス文学者、批評家の北村による、批評の入門書。楽しむための方法としての批評、に焦点を当てて、その方法や理論について、具体的に例を挙げながら語っている。精読→分析→アウトプット、の順で実際に批評を行うにあたってのヒントが書かれているわけだ…

『AI分析でわかった トップ5%の社員の習慣』/越川慎司

著者のクライアント企業25社の協力を得て、人事評価でトップ5%に該当する社員の行動を記録、AIと専門家にて分析を行い、トップ5%の社員の共通点や、彼らと95%の一般社員とで、どんな違いがあるのか、を抽出した、という一冊。 AIで優秀な社員の習慣を分析…

『インヴィジブル』/ポール・オースター

オースターの2009年作。前の数作と同様に、死を前にした老年の男が主人公の物語ではあるものの、多くのページはその男による若き日の回想録が占めているため、『写字室の旅』や『闇の中の男』のような陰鬱でどんよりした感じはさほど強くはない。その代わり…

"Steal Like an Artist: 10 Things Nobody Told You About Being Creative"/Austin Kleon

吉本隆明が、「手で考える」、「手を動かさなければ何もはじまらない」、「同じ事を言うためにだって違う表現は無限にある」などと語っていたのを読んで、随分以前に読んだ本書のことをおもい出した。本書も、とにかく手を動かすことの大切さが繰り返し語ら…

『だいたいで、いいじゃない。』/吉本隆明、大塚英志

97年から2000年にかけて四回行われたふたりの対談をまとめたもの。扱われているのは、エヴァンゲリオン、宮崎勤、宮台真司、江藤淳、オウム真理教などなど、まさにあの頃を代表するようなトピックたちで、20年以上経ったいま読んでみると、なんだかずいぶん…

『ぼくのプレミア・ライフ』/ニック・ホーンビィ

アーセナルに「とりつかれた」男、ニック・ホーンビィによる、1968年から92年までにわたる回顧録/スポーツエッセイ。ホーンビィの場合、フットボールが人生の中心、というか、人生≒アーセナルという感じなので、自身の人生を振り返ることは当時のアーセナル…

RIDE@恵比寿ガーデンホール

4/18、"Exclusive OX4 Show"と銘打たれた、ベスト盤の『OX4』を中心にしたライヴ。2曲目からして「今度出すアルバムからやるよー」とか言って新曲をかましてきたり、ベスト盤以降のアルバム曲も普通に演ったりと、全体的に自由な選曲になっていたようにおも…

『トラスト・ミー』

ザ・シネマメンバーズにて。ハル・ハートリー監督作。インディ感の溢れまくる小品だった。社会にまるで馴染めない不器用すぎる青年と、うっかり妊娠してしまった少女が出会う。青年は父親に虐待されていたし、少女は母親に搾取されるような生活を送っていた…

『本を愛しなさい』/長田弘

長田が愛する本たちとその書き手たちに関する、小伝というか掌編というか、ちょっとした文章たちを集めた一冊。本書を読んだだけでは、扱われている作品や著者について具体的なことはほとんどわからないだろうけれど、それらの本を読んだことのある人であれ…

『ゴルフ場殺人事件』/アガサ・クリスティ

ポアロものの第2作目。南米の富豪ルノー氏から、命を狙われているので急ぎ来てほしいと依頼状を受け取ったポアロは、ヘイスティングズとともに、ルノー氏の滞在するフランスはカレー近くの小さな町へ。ルノーの屋敷にやって来たふたりだが、すでに時遅く、氏…

『誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち』/スティーヴン・ウィット

従来の音楽ビジネスが崩壊していく季節の様子を、①mp3の産みの親であるドイツ人技術者、②音楽業界のトップエグゼクティブ、③ユニバーサル・ミュージックのプレス工場からCDを盗み出しては違法海賊サイトに音源をアップしまくった若者、という三者の物語を通…

『蝿の王』/ウィリアム・ゴールディング

戦争の最中、疎開する子供たちを載せた飛行機が不時着、南国の無人島に数十人の思春期前の少年たちが取り残されてしまう。大人のまったくいない、ある意味では楽園とも言えそうな南国の孤島で、彼らは自分たちなりにリーダーを決め、ルールを作り、島内を探…

『ないもの、あります』/クラフト・エヴィング商會

「よく耳にするけれど、一度としてその現物を見たことがない」ものたちをクラフト・エヴィング商會の「商品目録」という形で紹介していく一冊。「堪忍袋の緒」や「口車」、「左うちわ」、「無鉄砲」、「おかんむり」などなど、日本語のことわざや慣用表現の…

『僕の名はアラム』/ウィリアム・サローヤン

サローヤンによる短編集。古き良き、と言っていいような、20世紀初頭、アメリカはカリフォルニアの田舎町での、「僕」と周囲のアルメニア人移民の家族や村の人々との生活を描いている。 物語世界に悪人は登場せず、登場人物たちは、みな大らかで明るく、基本…

『雨はコーラがのめない』/江國香織

江國の愛犬、オスのアメリカン・コッカスパニエルの「雨」との生活と、その生活のなかでの音楽について書かれたエッセイ集。江國の小説や文章には、なんだか雨が似合うイメージ――ひそやかに、静かにしっとりと降る雨、世界をふわりと白く曇らせるような雨――…