2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧
タイトルの通り、小林が10代の若い人に向けて10冊の本を紹介する、という一冊。それだけではものすごくありきたりで退屈な本――いわゆる教養ガイド本的な――になりそうなものだけれど、そこは小林、自身の若いころの読書体験を引きながら、本を読むとはどうい…
バルトの処女作。とにかくわかりづらい文章が多く、よく理解できたとは到底言えないのだけれど――それでも、大学生の頃にちくま学芸文庫版を読んだときよりかは幾分ましだったとおもう――簡単にノートを取っておくことにする。 * 本書におけるバルトの主張は…
じつはモームの長編ははじめて読んだのだったけれど、いやーむちゃくちゃ面白い小説だった!エンタテインメント的なストーリーのドライブ感を持ちながらも、相当に複雑な人間の像が描き出されており、読書の愉しみを十全に味わせてもらった。 本作は、作家で…
本作は、オリバー・ツイストという少年の成長物語ではない。一種の貴種流離譚であり、オリバーの彷徨を利用して社会の低層を描いた作品だと言った方がいいだろう。なかなかの長編ではあるのだけれど、はっきりとオリバーの目線から描かれるパートは前の半分…
UPLINK Cloudにて。50歳でコンサートピアニストを引退し、80歳を過ぎてもなおピアノ教師を続けている、シーモア・バーンスタインの姿を描いたドキュメンタリー。とっても地味で静かな映画ではあるものの、全編に流れるピアノの音色が素晴らしい、なかなか素…
アン・タイラーは、とにかくふつうの市井の人々の描写というやつがむちゃくちゃに上手い。というか、そもそも彼女の小説はすべて、そういった人々を描いたものだと言ってもいい。ひとくせもふたくせもあることは間違いないけれど、でも本当に平凡な人々、に…