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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『若い人のための10冊の本』/小林康夫

本を読むことは、世界と出会うこと。小林康夫の語りと10冊のセレクトから、10代の頃の感覚――到底掘り尽くせないほど深いものが世のなかにはたくさんあるらしい、というわくわく感――を久々に思い出した

『零度のエクリチュール』/ロラン・バルト

作家の倫理が宿る「エクリチュール」の定義とは何か。カミュ『異邦人』にみる「白いエクリチュール」の可能性と、それが再び歴史に縛られていく文学の袋小路が書かれた一冊について、その構造を整理する

『月と六ペンス』/サマセット・モーム

ゴーギャンをモデルにした天才画家ストリックランドは、描くことだけに駆り立てられた男で、その無秩序なエナジーは周囲を破滅させずにはいられない。絵画という芸術に魅入られた男の、底の知れなさを描き出す物語

『オリバー・ツイスト』/チャールズ・ディケンズ

少年の成長物語というより、貴種流離譚のフォーマットを用いて社会の低層を描いた作品として読んだ。ディケンズ流の執拗な書き込みで生命力が与えられた、悪役たちの姿こそが魅力的な長編

『シーモアさんと、大人のための人生入門』

コンサート引退後、80歳を超えてなおピアノ教師を続けるシーモア・バーンスタインの姿を追ったドキュメンタリー。一音の妥協も許さぬ厳格さと、柔らかな語り口。音楽と人生を深いところで一体化させた一人の老ピアニストの姿に、シンプルな人生の幸福を見る

『ブリージング・レッスン』/アン・タイラー

アン・タイラーは、とにかくふつうの市井の人々の描写というやつがむちゃくちゃに上手い。というか、そもそも彼女の小説はすべて、そういった人々を描いたものだと言ってもいい。ひとくせもふたくせもあることは間違いないけれど、でも本当に平凡な人々、に…