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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『オラクル・ナイト』/ポール・オースター

出ればどうしたって買ってしまう、オースターの新刊。新刊と言ってもじつは2003年作で、翻訳が出るまでに意外と時間がかかってるんだなーと改めておもった。長い病からようやく回復した主人公は、何気なく入った文房具屋で青い表紙のノートを買う。彼はその…

「小波瀾」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

チェーホフには、子供を描いた作品に素晴らしいものがたくさんあるけれど、今作もなかなかいい。小さな男の子アリョーシャは、家にやってきた母親の浮気相手の男に、「ぼく、じつはこっそりパパと会ってるんです。でもでも、このことはママには内緒にしてお…

Date Course Pentagon Royal Garden@日比谷野外大音楽堂

10月9日、土曜日。みんなが待っていたDCPRGの復活ライブは、じつにハードな天候の下で行われた。ひとことで言って、豪雨。ふたことで言うなら、防水仕様のアウターを着ていてもなお雨が肌まで染み込んでくるような大雨、だった。もうその時点で記憶に刻みつ…

『音楽』/三島由紀夫

ある日、精神分析医の汐見のもとを訪れた美しい患者、麗子。彼女は「音楽が聞こえない」と言うのだが…! 昼メロ風のプロットを用いて、性の深遠さ、神聖さに近づこう、という感じの、バタイユ臭がぷんぷんする一作。「わたくし、音楽が聞こえませんの」に始…

「かき」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

「ぼく」は父親とともに、物乞いをするために街角に立っている。ああ、お腹が空き過ぎてもう倒れそう…ってときに、ふと「かき」という文字が目に入る。「かき」っていったいどんな食べものなの!?「ぼく」は食欲に刺激された想像力を駆使して「かき」をおも…

「嫁入り支度」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

どうやら没落貴族であるらしい、とある母娘のもとを訪れた「わたし」。時が止まったかのような小さく暗い家のなか、彼女たちは"嫁入り支度"と称して、ひたすらドレスを縫ったり刺繍をしたりして過ごしていた…! ちょっとユーモラスな語り口で、ことの顛末が…