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本、映画、音楽の感想など。

『戦略読書日記 本質を抉りだす思考のセンス』/楠木建

楠木は、昨今のビジネス書は「スキル」を追求することに傾斜しているが、戦略そのものを作成し、商売を組み立てていく経営者の仕事に必要なのは、「スキル」ではなく、「センス」だと言う。楠木によれば、「センス」とは、「文脈に埋め込まれた、その人に固…

『サブスクリプション ―― 「顧客の成功」 が収益を生む新時代のビジネスモデル』/ティエン・ツォ

サブスクリプション・モデルがどのように産業を変化させているか、そして、サブスクリプション・モデルをどのようにして企業に適用していくべきか、について具体的な方策が語られている一冊。かなりよくまとまっていて、サブスクリプション・ビジネスの現状…

『サピエンス全史』/ユヴァル・ノア・ハラリ

さんざん話題になった本書だけれど、たしかに非常に明快で、「人間とは全体としてこういうものだ」ということが腹落ちするようになっているところがよかった。大きな枠組みで体系的に語っていながらも、しっかりとしたストーリー性を持ち合わせているから理…

『スタンフォードの自分を変える教室』/ケリー・マクゴニガル

心理学、神経科学、医学などの分野から、自己コントロールにまつわる知見を解説し、自分の「意志力」を強化するためのさまざまな方法を紹介している一冊。紹介されているアイデアとしては、 * 定期的な瞑想を行う(5〜15分) * 定期的な運動を行う(5分〜) …

『洗礼ダイアリー』/文月悠光

詩人の文月悠光によるエッセイ集。タイトルにある「洗礼」というのは、「社会に入るために経験しなければならないこと」とされているような物事、通過儀礼のようなものだと言ってもいいだろう。幼いころからちょっと「人とズレて」いたという文月は、学校で…

『「残業ゼロ」の人生力』/吉越浩一郎

トリンプ・インターナショナル・ジャパン元社長の吉越による、人生後半をたのしむためのかんがえ方をまとめた一冊。 吉越は人間の人生を、 * 勉学中心の「学生期」 * お金を稼ぐ「仕事期」 * 何にも縛られず自由に生きる「本生(ほんなま)期」 の3つに分け…

『インプットした情報を「お金」に変える黄金のアウトプット術』/成毛眞

タイトルはど派手だが、内容的には結構まっとうなことが書いてある一冊。たしかにいまの世の中でふつうに生活していると、インプットばかりになってしまいがちだ。音楽も映画も聴き放題、見たい放題のサービスがあるし、電子書籍、オーディオブックだって同…

『私の財産告白』/本多静六

明治から昭和にかけて日比谷公園の設計や明治神宮の造林など行い、「公園の父」とも呼ばれた男、東京大学教授にして大資産家でもあった本多静六による資産/人生論。60年以上前の本だけれど、そのエッセンスはいまでも古びていない。というのも、彼の主張はき…

『新・メシの食える経済学』/邱永漢

邱永漢によるお金に関するエッセイ集。「お金の神様」として有名な著者だけれど、お金儲けに関するノウハウ集というよりは、お金という側面から人生について語った、人生論のような趣の一冊だ。本当に人生のありとあらゆることをお金に結びつけて語っている…

『リベラルアーツの学び方』/瀬木比呂志

東京地裁、最高裁の元裁判官であり法学者である著者による、リベラルアーツ指南本。世のなかに大量に流布しているリベラルアーツ本、教養本の書き手たちと同様、瀬木も、実践的な意味における生きた教養としてのリベラルアーツを学ぶことの意味は、いまなお…

『ゼロ・トゥ・ワン』/ピーター・ティール

ピーター・ティールがスタンフォード大学の学生向けに行った「起業論」の講義をベースに書かれた一冊。ティールは、自身が採用面接を行う際、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」と質問するという。なかなか難しい質問だが、これに対…

『ニック・ランドと新反動主義 現代世界を覆う〈ダーク〉な思想 』/木澤佐登志

新反動主義(暗黒啓蒙)と呼ばれる、なんともキナ臭い思想的ムーブメントの概要と、それが形成されるに至った流れについてまとめられた一冊。ペイパル共同創業者のピーター・ティール、Tlon経営者のカーティス・ヤーヴィン、哲学者のニック・ランドという三…

『思考力』/外山滋比古

本書の主張はシンプルだ。「知識・教養などといった他人の考えに依存することなく、自分の頭で考えろ!」ということだ。外山はいままでの自身の人生経験から、知識偏重の日本の教育はダメだし、日本の文系の学問も同様だ(海外の論文をパクって組み合わせて…

『浴室』/ジャン=フィリップ・トゥーサン

『浴室』の物語は、ある日突然、主人公の青年が浴室に引きこもってしまう、というところからはじまる。なるほど、胎内回帰願望のメタファーとしての浴室、とかそういう感じなのかな、などとおもって読み進めていくと、数ページ後には彼はあっさりと浴室を出…

『誰がために鐘は鳴る』/アーネスト・ヘミングウェイ

ヘミングウェイの長編。1930年代のスペイン内戦を舞台に、共和国側の義勇兵としてゲリラ部隊を率いるアメリカ人、ロバート・ジョーダンの4日間を描く。ジョーダンの任務はグアダラマ山脈にある橋の爆破だけれど、頼りにできるのは10名にも満たない地元のスペ…

『砂の女』/安部公房

主人公の男は、昆虫採集のために休暇をとって人里離れた砂丘に向かう。そこには砂に埋もれかけた小さな村があり、男は一夜の宿を求めてある家を訪れる。家には女がひとり暮らしているのだが、なにしろそこは砂穴の底に位置する家、放っておけばたちまち砂に…

『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』/佐宗邦威

カイゼン思考、戦略思考、デザイン思考に次ぐ、「ビジョン思考」なるものを提唱する一冊。佐宗によれば、「ビジョン思考」とは、個人の関心、妄想といった内発的動機からスタートして創造性をドライブし、直感と論理とを結びつけるような思考法、であるらし…

『コズモポリス』/ドン・デリーロ

2000年のニューヨーク。若くして投資会社を経営する主人公は、自分の周りにあるすべてにリアリティを感じられないでいる。莫大な資産、鍛え上げた肉体、株式の動きを見抜く才能、特殊改造されたハイテクの豪華リムジン、優秀な部下、ボディーガード、専属の…

『快楽としての読書 海外篇』/丸谷才一

丸谷才一による海外文学の書評集。書評というと基本的には新刊が対象になるものだけれど、そこは大ベテランの丸谷才一、1960年代から2001年までという長いスパンのあいだに書かれた書評600編ほどのなかから116編が選ばれ、収められている。結果として本書は…

『漱石全集を買った日 古書店主とお客さんによる古本入門』/山本善行、清水裕也

本屋でぱらぱらとページをめくっていると、以前のエントリでも書いた、小林康夫と大澤真幸による「全集を読め」という話が取り上げられているのが目に入って、おもわず買ってしまった一冊。古書店の店主である山本と、その常連客である清水との対談本だ。 社…

『ファイト・クラブ』/チャック・パラニューク

パラニュークの96年作。デヴィッド・フィンチャーの映画の方はだいぶ以前に見たけれど、最近いくつか読んでいたミニマリズム関連の本で本書がたびたび引用されていることもあり、原作も読んでみることにした。エリートビジネスマンの主人公は「完全で完璧な…

『勝間式 超コントロール思考』/勝間和代

仕事のみにとどまらず、人生全般(お金、健康、家事、人間関係、遊び)について、超コントロール思考であれ、と説いている一冊。もちろん、人間は他人や世界を操作できるわけではないので、自分自身の思考やふるまい、所属や環境、誰と付き合うか、といった…

『ミニマリズム 30歳からはじめるミニマル・ライフ』/ジョシュア・フィールズ・ミルバーン、ライアン・ニコデマス

「ザ・ミニマリスツ」と名乗る、アメリカ人ふたりのユニットによるミニマリズム本。ビジネスマンとして成功し、物質的にもかなり豊かな生活を送っていた彼らが20代後半にしてミニマリズムに目覚めたきっかけや、いざミニマルな生活をはじめようとする際、ど…

『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』/佐々木典士

断捨離とかミニマリストとかの本はいままでに何冊か読んだことがあったけれど、この本が俺にはいちばん効いた。効いたというのは、具体的にモノを減らすための行動を始められた、ということだ。ウチには2m超えの本棚が3つもあるくらいなので、どれだけミニマ…

『仕事は楽しいかね?』/デイル・ドーテン

「頭がいい人がするいちばん愚かな質問は、『あなたは5年後、どんな地位についていたいですか?』だ」という、自己啓発系ビジネス本。一般的に、「1年後、5年後といった長期的な目標設定をする」、「生きる姿勢を変え、ビジョンを持ち、それに向かって計画的…

『センスメイキング 本当に重要なものを見極める力』/クリスチャン・マスビアウ

今日、ビジネスの世界でもっとも重要視されているのはSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)やビッグデータ、アルゴリズム思考といった、いわゆる理系の知識だと言えるだろう。現代はデータ至上主義の時代だ、と言ってもいいかもしれない。…

『センスは知識からはじまる』/水野学

よく、芸術的なセンスがある、ファッションのセンスがいい、仕事のセンスが優れている、などといった言い方で、「センス」というものが取り沙汰される。大抵の場合、それらの発言には、センスの問題では仕方ない、それは生来のものだから、感覚的なものだか…

『読書術』/加藤周一

加藤周一による読書術本。50年ほど前に書かれた本だが、古びていないどころか、最近乱立気味のこの手の本のなかでも、これよりまとまっていたり独創的だったりする本はほとんどないだろう、という印象だった。速く/遅く読む方法、本の選び方、本を読まない方…

「狂人日記」/ニコライ・ワシーリエヴィチ・ゴーゴリ

「狂人日記」は、九等官の中年男、ポプリーシチンという人物の日記という体裁をとっている。一人称の語りのみで、全編が構成されているのだ。ポプリーシチンは、ゴーゴリ作品の主人公らしく、自分(の社会的地位)に自信がないために、卑屈な態度と尊大な態…

『頭のよさはノートで決まる』/齋藤孝

頭がよくなりたければノートを書け!と煽りまくる齋藤のノート術本。俺自身、昔からノートやら手帳やらを大量に使ってきたノート大好きマンであるので、なかなかたのしく読めた。齋藤の主張は、「いつでもノートを持ち歩くこと」、「何か物事について思考し…