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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2010-01-01から1年間の記事一覧

日記を読むこと

きょうは大晦日。2010年最後の日。年明け前にやっておくべきことと言えば大掃除だよね…ってことで、はてなアンテナの整理をしようとおもい立ったのだけど、いつの間にやら更新されなくなった日記の多いこと多いこと!俺のはてなアンテナには120ちょいのブロ…

湯川潮音@タワーレコード渋谷店

新作『クレッシェンド』の購入者特典に当たって、クリスマスイブイブに湯川潮音のミニライブを見ることができた。場所は渋谷タワーB1のごくごく小さな箱だし、『クレッシェンド』は、いままでの彼女のアルバムのなかでもとくに好きな一枚だし、ってわけで、…

「クリスマスの思い出」/トルーマン・カポーティ

きのう、ずいぶんひさしぶりにカポーティの「クリスマスの思い出」を読んだのだけど、うわっ、これ、こんなにぐっとくる物語だったっけ!?と驚いた。この作品を俺は少なくとも3回は読んでいるのだけど――1回目は中学か高校の頃、2回目はこの本(村上春樹訳の…

「ワーニカ」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

クリスマスの前夜、9歳の少年ワーニカは、奉公先での生活の辛さに耐えかねて、故郷のおじいちゃんに宛てて手紙を書くことにする。なつかしい故郷でのクリスマスにおもいを馳せつつ、眠気と戦いながら手紙を書き終えたワーニカは、宛名に「村のおじいちゃん、…

"Put The Lights On The Tree"/Sufjan Stevens

そんな5枚組ボックスのなかの2枚目のCD『Hark!』より、"Put The Lights On The Tree"。 ツリーにライトをまきつけて リースにリボンをくっつけて もしおばあちゃんがたったひとりで暮らしているのなら 電話してあげるんだよ 神さまはここにいるんだって伝え…

『Songs For Christmas』/Sufjan Stevens

気がついてみれば、そろそろクリスマス。白や黄色や青の光に彩られた夜の街で、恋人たちは寄り添って歩き、子供たちはサンタクロースの来訪を心待ちにしながら眠りにつく…いつの間にか、もうすっかりそんな時期になっていたなんてね!いまの俺の仕事はシステ…

『いつか眠りにつく前に』

DVDで。重い病でベッドに寝たきりになったアンを見守る2人の娘たちは、彼女が「ハリス」という男の名前をうわごとのように繰り返すのをふしぎにおもっていた。ハリスって、いったい誰なの??気になるけれど、意識も朦朧としている母にはなかなか聞きづらい…

『初夜』/イアン・マキューアン

タイトルの通り、とあるカップルの初夜を描いた中編。近年のマキューアン作品の特徴といえば、流れるような文体にきめ細やかな心理描写、かっちり構築されたプロット、いかにもイギリス人って感じのアイロニーなんかが挙げられるとおもうけれど、本作でもそ…

『だれも知らない小さな国』/佐藤さとる

ふらっと立ち寄った本屋の文庫平積みコーナーにコロボックルが置いてあっておどろいた。多くの小学生たちと同様、俺も青い鳥文庫でコロボックルシリーズを読んでいたわけだけど、ついに講談社文庫に入るとはね!とおもい、なんとなく手にとって帯を見てみる…

グリックのこと

この頃、亡くなってしまった人のことをよくかんがえる。それは、いまみたいな会社と家とを往復するばかりの生活をしていたらすぐ老人になっちゃいそうだ、っておもうからかもしれないし、いかにも秋らしい澄んだ水色の空に感傷的な気分になってしまうから、…

The Charlatans@LIQUIDROOM

マッドチェスター(ほぼ)唯一の生き残り、The Charlatansの単独に行ってきた!俺よりもうちょい上くらいの年齢層がメインの会場は、さすがにぎう詰めとまではいかなかったけれど、その代わりにとってもアットホームな雰囲気で、多幸感が溢れるようだった。

『空飛ぶ馬』/北村薫

北村薫のデビュー作。たしか高校生の頃に一度手にとったことがあって、そのときはこの女子大生の一人称文体が"作り過ぎ、狙い過ぎ"なようにおもえてしまった――こんな"文学少女"然とした子、どこにいるんだよ!?って――のだけれど、今回はわりと素直な気持ち…

『ピエール・リヴィエール 殺人・狂気・エクリチュール』/ミシェル・フーコー

19世紀フランスの農園で、母・妹・弟を殺害した青年、ピエール・リヴィエールを巡る訴訟関連資料と、それらについての論考がまとめられた一冊。当時の資料から、狂気・司法・精神医学を巡る権力の作用を確認するべく、フーコーらは縦横に錯綜するさまざまな…

Charlotte Gainsbourg@東京国際フォーラム

ベックプロデュースの新作は正直あまり好みではなかったものの、何しろあのシャルロット・ゲンズブールがライブをやる、っていうんだから、これはチェックしないわけにはいかないでしょ!ってミーハーな気分で会場に向かったのだったけれど、さすがは現代フ…

『ペルシャ猫を誰も知らない』

吉祥寺バウスシアターにて。西洋文化が厳しく規制されるイランで、当局の目を逃れつつ、バンド活動に奮闘する青年たちを描いた作品。 音楽活動が制限されたイランの実情――バンドで演奏するだけで捕まってしまう!――は、彼らにとってたしかに息苦しく、生きづ…

『オラクル・ナイト』/ポール・オースター

出ればどうしたって買ってしまう、オースターの新刊。新刊と言ってもじつは2003年作で、翻訳が出るまでに意外と時間がかかってるんだなーと改めておもった。長い病からようやく回復した主人公は、何気なく入った文房具屋で青い表紙のノートを買う。彼はその…

「小波瀾」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

チェーホフには、子供を描いた作品に素晴らしいものがたくさんあるけれど、今作もなかなかいい。小さな男の子アリョーシャは、家にやってきた母親の浮気相手の男に、「ぼく、じつはこっそりパパと会ってるんです。でもでも、このことはママには内緒にしてお…

Date Course Pentagon Royal Garden@日比谷野外大音楽堂

10月9日、土曜日。みんなが待っていたDCPRGの復活ライブは、じつにハードな天候の下で行われた。ひとことで言って、豪雨。ふたことで言うなら、防水仕様のアウターを着ていてもなお雨が肌まで染み込んでくるような大雨、だった。もうその時点で記憶に刻みつ…

『音楽』/三島由紀夫

ある日、精神分析医の汐見のもとを訪れた美しい患者、麗子。彼女は「音楽が聞こえない」と言うのだが…! 昼メロ風のプロットを用いて、性の深遠さ、神聖さに近づこう、という感じの、バタイユ臭がぷんぷんする一作。「わたくし、音楽が聞こえませんの」に始…

「かき」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

「ぼく」は父親とともに、物乞いをするために街角に立っている。ああ、お腹が空き過ぎてもう倒れそう…ってときに、ふと「かき」という文字が目に入る。「かき」っていったいどんな食べものなの!?「ぼく」は食欲に刺激された想像力を駆使して「かき」をおも…

「嫁入り支度」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

どうやら没落貴族であるらしい、とある母娘のもとを訪れた「わたし」。時が止まったかのような小さく暗い家のなか、彼女たちは"嫁入り支度"と称して、ひたすらドレスを縫ったり刺繍をしたりして過ごしていた…! ちょっとユーモラスな語り口で、ことの顛末が…

KAREN@下北沢Club Que

9月23日、秋分の日。朝から雨が降っていたけれど、この雨とともに一気に秋がやってきたみたいだ。かなり涼しく、いや、もはやちょい寒いくらいになってきている。夕方、松やで腹ごしらえをしてから、下北沢へ。南口を出て歩きながら、そういえば、去年もちょ…

『ソラニン』/浅野いにお

いい歳こいてどこか学生気分を引きずったままの生活、モラトリアムって言ったらいいのか、ゆるゆるだらだらと流れていく時間やその雰囲気が、なんていうか、恐ろしく心地よい。以前はてなの日記で誰かが、「このマンガのゆるい空気感やら炸裂する自己愛やら…

『ロング・グッドバイ』/レイモンド・チャンドラー

じつはレイモンド・チャンドラーって初めて読んだのだけど、名作の誉れ高い小説だけあってかなりたのしめた。村上春樹も「訳者あとがき」で、本作の素晴らしさをものすごく熱く語っていて、それもなかなかおもしろい(っていうか、「訳者あとがき」だけで40…

『making of LOVE』

ポレポレ東中野にて。映画監督"ふるさわたけし"の撮る新作のメイキング、っていうフェイクドキュメンタリーな構成をとっているのだけど、物語の展開に応じてコメディ的な要素、オカルト、SF的な要素が自在に混じり合っていくのがたのしい作品だった。

SUMMER SONIC 2010

海浜幕張に着いたのは12:00頃のことで、友人とふたり、カプリチョーザで気持ち悪くなるくらいピザとパスタを詰め込んでからのんびりとメッセに向かった。外はまさにフェス日和、って感じに日差しが降り注ぎまくる完璧な晴天だったけれど、屋外のステージに行…

FUJI ROCK FESTIVAL '10

7月30日、金曜日。会社から帰って、大急ぎでシャワーを浴びて、かばんに荷物を詰めて――ウィンドブレーカ、ジップロック、タオル、ケータイの予備バッテリ、Tシャツ、バファリン――家を出る。新宿で友人と合流して、ツアーバスに乗り込んだのは23時頃。夜行バ…

『カティンの森』

早稲田松竹にて。とても静かな、でも薄皮一枚剥がしたその下には熱い情念がごうごうと蠢いているのが感じられる、超ヘビーな映画だった。1940年に起きた、カティンの森におけるポーランド人将校の大量虐殺に肉薄した作品。

『ピクシーズ/ラウド・クァイエット・ラウド』

吉祥寺バウスシアターにて。2004年、およそ10年ぶりになるpixies再結成の決定からツアーの模様までを追ったドキュメンタリー。解散後、各メンバーはどこでどんな風に過ごしてきたのか?いろいろあったはずのメンバー間の確執は解消されたのか?そもそもなぜ…

『キッズ・リターン』

早稲田松竹にて。北野武、オートバイ事故からの復帰第一作。シンプルというか、どちらかと言うと地味なくらいの脚本だけど、なんだかずっしりと心に残る映画だった。 扱われているのは、若いってことのほろ苦さや、ふいに訪れる挫折とそこからの再出発、みた…