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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

映画

『日陽はしづかに発酵し…』

日陽はしづかに発酵し・・・ [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2010/09/25メディア: DVD クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 早稲田松竹にて。いやー、むちゃくちゃかっこいいタイトルだけれど、これは辛かった。とにかく眠い。明確…

『シェルブールの雨傘』

水色、黄色、ピンク、オレンジなどなど、パステルカラーが散りばめられた画面は見ているだけでわくわくするようなたのしさがあるし、登場人物たち(というか、カトリーヌ・ドヌーヴ)の60年代な感じのファッションもいちいちかわいい。そして、よくよく見て…

『サイコ』

おもしろいと感じたのは、「サイコ」とぜんぜん無関係なプロットが進行していく序盤の感じ、人物の顔を長時間アップにし続けることでじりじりとした緊張感を高めていく手法、アンソニー・パーキンスがニカっとスマイルするタイミングの気持ち悪さ(ふつうは…

『ザ・フューチャー』

渋谷アップリンクにて。小さなアパートに暮らすソフィー(ミランダ・ジュライ)とジェイソン(ハミッシュ・リンクレイター)は35歳同士、同棲して4年のカップルである。ある日、ふたりは怪我を負った野良猫を見つけ、動物シェルターに運び込む。怪我が治った…

『愛と宿命の泉 Part Ⅱ 泉のマノン』

DVDで。パート2で描かれるのは、前編から10年後の物語である。泉を手に入れ、ついに「カーネーション王」となったウゴランは、ある日、泉で水浴びをする羊飼いの娘の姿を覗き見る。娘はジャンの娘、マノンだった。その美しさにひと目で恋の虜になってしまっ…

『愛と宿命の泉 Part I フロレット家のジャン』

DVDで。おもしろかった!パート2の『泉のマノン』と合わせてひとつの物語として完結する形になっている作品の第一部。愛と宿命によって複雑に絡まりあった人物たちが織りなす神話的で悲劇的なプロットがあり、豪華俳優陣の名演があり、そのバックには印象派…

『ザ・マスター』

本作の見所はやはりこのふたりの濃厚すぎる演技ということになるだろう。彼らふたりが揃っているシーンはいずれも画面に異様な強度が宿っており、"何か決定的なことがここで起こっている"という、目が離せなくなるような気分にさせられるのだ(とはいえ、"本…

『花様年華』

いわゆるラブストーリーのプロットを持つ本作だけれど、彼らの出会いや、恋に落ちて別れるまでのプロセスといったものが具体的に描かれているというわけではない。この映画で扱われているのは物語というより、禁じられた恋の情緒、詩情とでもいうべきものな…

『ビフォア・ザ・レイン』

DVDで。救いや希望はまるでなく、陰鬱なムードが全体を覆っているものの、美しい映像や凝った構成からは非常な繊細さが感じられる、そんな映画だった。テーマとして扱われているのは、旧ユーゴ紛争の一環で独立したマケドニアの国内における、マケドニア人と…

『デッド・カーム 戦慄の航海』

DVDで。チープな味わいのサスペンス映画。ジョンとレイの夫婦(サム・ニール、ニコール・キッドマン)は、息子を自動車事故で失った悲しみを癒すべく、ヨットでクルージングに出かける。彼らは航海の途中、ボートに乗ってやって来た妙に顔の濃い若い男、ヒュ…

『ルビー・スパークス』

渋谷シネクイントにて。これはなかなかおもしろかった!長年のスランプから抜け出せないでいる小説家のカルヴィン(ポール・ダノ)は、ある日、夢に出てきた女の子を主人公に物語を書き始める。とってもキュートな彼女の名前は、ルビー・スパークス。作品を…

『シングルマン』

DVDで。ファッションデザイナーであるトム・フォードの初監督作品。ゲイの大学教授(コリン・ファース)を主人公に、パートナーを失うという体験の苦しみと、そこからのゆるやかな再生の可能性を描く。画面に映し出される構図や色調、ディテールはかなり凝っ…

『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』

ウォリスとエドワード ?英国王冠をかけた恋? (字幕版)発売日: 2013/11/26メディア: Prime Videoこの商品を含むブログを見る 新宿バルト9にて。マドンナの新作。1930年台と90年台とを行ったり来たりしながら、「世紀の恋」と呼ばれた、英王エドワード8世と恋…

『エリス・レジーナ~ブラジル史上最高の歌手』

渋谷ユーロスペースにて。ドキュメンタリーというより、ライブ映像といった方が近いような作品だった。テレビのスタジオライブの合間に、エリスが自分の身の上や曲の作曲者についてあれこれおしゃべりをするのだ。カメラは彼女の顔のアップかピアノの鍵盤く…

『セブン・デイズ・イン・ハバナ』

セブン・デイズ・イン・ハバナメディア: Prime Videoこの商品を含むブログを見る 渋谷ヒューマントラストシネマにて。キューバを舞台に、7人の監督が7つのエピソードを描いた短篇集映画。どのエピソードにもわりとくっきりとしたストーリーがあるところ、キ…

『おおかみこどもの雨と雪』

おおかみこどもの雨と雪発売日: 2018/04/25メディア: Prime Videoこの商品を含むブログを見る イオンシネマ金沢フォーラス店にて。女子大生の花は、ある男と出会って恋に落ちる。いっけんただの小汚いフリーターに見える男だったが、じつは彼はニホンオオカ…

『ダークナイト・ライジング』

福山CINEFUKUミラノ座にて。観客は自分を含めて4人だけっていう、がらがらの映画館で見た。本作は、クリストファー・ノーラン監督のバットマンシリーズ3作目にして完結編。前作『ダークナイト』は、そのちょっぴりインテリ風な佇まいが人気の作品だったけれ…

『私が、生きる肌』

早稲田松竹にて。人工皮膚開発の権威である形成外科医のロベルは、己の持てる技術のすべてを注ぎ込み、亡くなった妻に瓜二つの美女を作り上げた。ベラと名づけられた彼女は、奇妙な肌色の全身タイツを身につけた状態でロベルの自宅の一室に軟禁されており、…

『シェイム』

「語らないままでおく」ということこそが、本作を"スタイリッシュ"でありつつも、深みを持った作品たらしめているポイントだと言えるだろう。物語のまさに核心の部分を空白のままにしておくことで、主人公たちの抱える問題――それは、"Shame"という題名の通り…

『モンスター上司』

各シーンに笑える仕掛けがいくつも用意されていて、全体的によくまとまった作品になっているのだけど、とにかく主人公たち3人の会話のおもしろさが印象的だった。ニックが話を始めると、必ずカートが横からくだらない口出しをして論点がずれ、デイルがそれを…

『ドラゴン・タトゥーの女』

DVDで。原作はミステリ小説だけど、映画版においてはミステリ的な要素はぐっと薄められている。推理パートの進行スピードがやたらと早いので、観客の側でいろいろ推理したりかんがえたりするような余裕がほとんど与えられないのだ。結果として本作は、150分…

『永遠の僕たち』

渋谷シネマライズにて。若さゆえの繊細さと危うさ、それが否応なしに引き起こしてしまう痛みと、だからこその美しさ、ってやつを描かせたら、ガス・ヴァン・サントはまず間違いない監督のひとりだろうとおもうのだけど、今作もじつに静謐かつエモーショナル…

『インスタント沼』

DVDで。ごちゃごちゃっとした画面のなかに笑える小ネタがめいっぱい詰まっているのが三木聡作品の特徴だとおもうけれど、今作もまさにそういう映画だった。ひとつひとつのおもしろさはともかくとして、観客としては120分ノンストップで繰り出し続けられる小…

『わたしを離さないで』

早稲田松竹にて。原作のイメージ、空気感といったものを忠実に再現した、いい映画だったとおもう。奇妙な静けさのなかで、しこりのようにただそこに在り続ける、絶望と諦念ってやつが、見事に描き出されている。物語後半はもう泣けて泣けて。これは『愛する…

『愛する人』

早稲田松竹にて。原題の"Mother And Child"の通り、母親とその子供(娘)の物語だ。物語の中心にあるのは、愛する人と別れること、そして、一度は別れてしまった愛する人のことを、なお求めずにはいられないこと、この2点だと言えるだろう。"愛する人"は母親…

『マッチポイント』

DVDで。自分のなかでひさびさにウッディ・アレンブームがきているので、見ていなかった最近の作品もチェックしてみることにした。主人公の青年(ジョナサン・リース=マイヤーズ)は、金持ちの令嬢といい仲になり、いわゆる人生の成功をその手に掴みかけるの…

『僕のニューヨークライフ』

DVDで。とことんウッディ・アレンらしい、とう感じの作品だった。饒舌でちょっとエキセントリックな登場人物たち、深刻な状況になっても決してシリアスにはなり過ぎない物語のムード、軽やかなユーモア、暖色系の画面。作品全体からにじみ出る、オトナの余裕…

『アリス・イン・ワンダーランド』

『キッズ・オールライト』]に出ていたミア・ワシコウスカを見て、あっ俺そういえばアリスの映画見てなかったじゃんね!とおもい出して借りてきた。ティム・バートン×不思議の国のアリス、ってこれ以上ないくらいフィット感のある組み合わせの割には、ずいぶ…

『マリー・アントワネット』

DVDで。いやー、この雰囲気はソフィア・コッポラならではだろう。透明で涼しげで軽やかでおしゃれで、でもその底のところにはどうにもできない程のけだるさ、倦怠感がある、っていうこの感覚が味わいたくて俺はソフィア・コッポラの映画を見ている気がする。…

『ブラック・スワン』

池袋シネマ・ロサにて。長いあいだ見たい見たいっておもい続けてようやく見れた本作だけど、んー、評判ほどじゃなかったかなー、というのが正直な感想。運よく"白鳥の湖"の主役に抜擢されたバレエダンサー、ニナだったが、今回の公演では「白鳥」と「黒鳥」…