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"Steal Like an Artist: 10 Things Nobody Told You About Being Creative"/Austin Kleon

吉本隆明が、「手で考える」、「手を動かさなければ何もはじまらない」、「同じ事を言うためにだって違う表現は無限にある」などと語っていたのを読んで、随分以前に読んだ本書のことをおもい出した。本書も、とにかく手を動かすことの大切さが繰り返し語られている一冊だ。

著者のKleonは、“Nothing is completely original”だと主張する。どんなに新しく見えるものでも、いままでのアイデアの組み合わせ/組み換えからできており、まったくのオリジナルなどということはあり得ない。また、誰かひとりからアイデアをコピーしただけならそれはただの剽窃でしかないが、複数人から複数のアイデアをコピーしてくれば――その表層ではなく、本質を調査、分析し、コピーすることができれば――それは研究だということになる。だから、まずは真似からでいいから、とにかく手を動かして何かを作り出すことが肝要だ、とKleonは言う。

Nobody is born with a style or a voice. We don't come out of the womb knowing who we are. In the beginning, we learn by copying.
If I'd waited to know who I was or what I was about before I started "being creative", well, I'd still be sitting around trying to figure myself out instead of making things. In my experience, it's in the act of making things and doing our work that we figure out who we are.

自分の内面をいくら探り続けたところで、自分が何者であるのかを見定めることはできない。実際に手を動かして、ものを作ったり、実践していったりするなかでこそ、自分というものが見つかってくるはずだ、というわけだ。それに、たとえ一度成功したとしても、自分がうまくいったのはたまたまなんじゃないか、自分は偽物なんじゃないか、と恐怖してしまうことなどいくらでもある。そういうときの対策というのもやはり、とにかく手を動かし、作り続けるということ、それだけしかないのだ、とKleonは語っている。