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『AI分析でわかった トップ5%の社員の習慣』/越川慎司

AI分析でわかった トップ5%社員の習慣

AI分析でわかった トップ5%社員の習慣

  • 作者:越川 慎司
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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著者のクライアント企業25社の協力を得て、人事評価でトップ5%に該当する社員の行動を記録、AIと専門家にて分析を行い、トップ5%の社員の共通点や、彼らと95%の一般社員とで、どんな違いがあるのか、を抽出した、という一冊。

AIで優秀な社員の習慣を分析、ってなかなかおもしろいかも!とおもって読み始めたのだけれど、分析から導かれるのは、いわゆる一般的な「仕事のできる人」の像でしかなく、正直言ってとくに新たな気づきが得られるような本ではなかった。「トップ5%の社員の習慣」というのも、いわゆる自己啓発系のビジネス書に載っているような内容で、そりゃこれが全部できればトップ社員になるだろ、というか…。わざわざAIでデータ分析した結果がこれかー、というがっかり感があった。(まあ、「既存の人事評価でトップ5%に該当する人」の習慣を分析して整理したというだけなのだから、既視感のある結果になるのはある意味当然なのかも知れない。)

これを読んだからといって95%の人がトップ5%になれるかと言ったら、それは無理な話というものだろう。高い目標と基準を持ち、人よりも行動量が多く、適切なレベル感で成果物を作成し、時間を大切にし、集中が必要な仕事は午前中に行い、オン・オフをしっかりと切り替え、即レスし、挑戦を実験と捉え、人よりも多く発言し、必ずフィードバックを求め、適切に迅速に対応し、他者への配慮や感謝を忘れず、時間を無駄にせず、こまめに内省を繰り返して自分の軸を持ち、納期を守り、トラブルには臨機応変に対応し、意識ではなく行動を変え、社内外の人脈を豊かに保ち…って、できたほうがいいことだというのは誰でもわかっていることだろう。みんなわかってはいるけれど、やれていない、行動できていないからこそ、95%の方に留まっているのだ。