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作中では複数の母娘関係が描かれるのだけど、そのすべての関係が非常に痛ましい別離を経験することになる。このプロットひとつひとつは類型的で、どこかで聞いたことのあるような展開ばかりなのだけど、それは別の言い方をすれば、直球で王道ど真ん中を行く話だということでもある。そのせいか、女優たちの演技の輝きは本当に素晴らしく、観客は次第に彼女たちの姿に自らを照らし合わせ、物語にのめり込んで行ってしまうことになる。…というか、少なくとも俺自身はそうだった。物語中盤以降からは主人公たち(とくにアネット・ベニングとナオミ・ワッツ!)にずぶずぶに感情移入してしまって、もうしっかり泣かされてしまったのだった。
物語の構成の仕方、複数のストーリーの絡め方なども巧みで、全体的にていねいに作られた、説得力のある作品だと感じられた。男たちはすべからく端役でしかなく、女たちはどんな脇役にもしっかりとした個性が与えられている、って偏った描写の仕方(しかし、それが作品のリアリティをまったく損なっていない!)もおもしろかったな。どうにもぱっとしない邦題を除けば、ほとんど隙のない、非常にクオリティの高い映画だったとおもう。