登場人物がけっこうおおいのだけど、ひとりひとりのキャラがしっかりと立っていてよかった。ただ、それは描写のこまやかさによってなどではなくて、延々とつづく(しかも、大抵はストーリーと関係ない)小ネタの集積によるもの。作品全体をばかばかしいわらいが支配しているのは、『イン・ザ・プール』と同様で、でも、今作はもっとごちゃごちゃっとして、ゆるさというよりはむしろテンション高めの展開になっている。ひとことでいうと、全体的に騒々しくて、すごく変。
映画は全編、あきれるくらいに、ギャグ、小ネタの連続技で埋めつくされているのだけど、ストーリーも、決めるべきところではきちんと決めてくれる(構成はかなりいいかげんに見えるものの、意外に破綻していない。描写が雑なのも、ひたすらスピード感とわらいに奉仕している感じがするので、ありだとおもう)。ネタだけの映画なんて、単調になりそうなものだけど、気がつくとふしぎなグルーヴが生まれていて、ぜんぜん飽きさせない。うわー、うまいなーって感じ入ってしまった。もっとも、おもしろいでしょこれ、って言わんばかりに次々ネタが繰り出されてくるので、この、いかにもわらいを取ろうとしてる感、をあざといととるか、がんばっちゃってるのが逆におもしろいととるか、ってところですききらいは分かれるかもしれない。
俺はひとりで見に行ったんだけど、誰かと一緒に見たら、映画内の小ネタについてだけで、延々と話つづけられそう。「地獄の黙示録」風のところとか、すっごいわらったなー。とてもサービス精神旺盛な、完成度の高いエンタテインメント。すっかり三木聡のファンになっちゃいました。