極端に起伏の少ない物語、映像のなかで、物語終盤にクライマックスが訪れる。そのシークエンスでは、オチ、じゃないけど、何かそれに近いものによって、物語全体が聖化されるというか深化するような感覚がある。でも、そこがちょっと「衝撃のラスト!!」的な展開で、あまりいただけない、とおもった。伏線も一応あるし、こういうシークエンスというか、何か物語の落としどころ的なものがあることで、結末を重視する人は満足できるかもしれない。ただ、そのために、そこに至るまでの道のりが単なる助走のように見えてきてしまうというか。そうじゃないってことは、まあ、わかるんだけど。映画として成立させるためには、そういう、見るものに衝撃をあたえる技、みたいなものが必要なのかもしれないけど、うーん、もうちょっと、他になかったのかなーとおもってしまった。
ヴィンセント・ギャロの作品は、まえに『バッファロー'66』も見たことがあるけど、どうも自分とは親和性が低いように感じる。きらいではないんだけど、そこまで入り込めないっていうか。もっとも、全体的にとても私的なにおいのする映画だから、すごくすきっていう人がいるのはよくわかる。