物語をすすめていくのは、できちゃった婚から4人の息子、ひとりの娘を育ててきた母親(レナ・オリン)の不倫と、15歳の娘(クレア・デインズ)の妊娠問題。母娘ともども、強いというかたくましい女性、母親として描かれていて、彼女たちのオプティミズム、自由奔放さがこの映画のいちばんの原動力になっている。けっこういろいろと問題を抱えつつも、なんだかんだで楽天的なムードが全体を貫いていて、へヴィにはならない。
そして、ホームドラマとしての魅力を深めているのは、なんといっても父親(ガブリエル・バーン)の情けなくも優しい姿だ。妻には不倫されるし、娘は妊娠しちゃうしでなんとも困った事態だけど、諦念やうんざり感も交えつつ、でもたしかな愛情をもって接する、ってところが定番にしていちばんぐっとくるポイント。一番下の息子と、娘と3人で煙草をまわしのみするシーンとか、すっげーいいの。
展開はまあはっきりいって大味で、ドラマを鑑賞する、というよりはホームドラマのお約束をたのしむ映画、って言い切っちゃってもいいくらいかも知れない。とりあえず、意外性や完成度を求める作品じゃあない。でもホームドラマとしてはなかなかよくできているとおもうし、全体になあなあな感じで、ちょっと無理やりハッピーエンドにもっていくところなんかも、俺はすきでした。
でも、おもうに、つくづく俺って家族ものに弱い。多少描写が甘かったり、ストーリーがありきたりだったり(っていうか、家族もの、って時点でありきたりか!)、構成がおおざっぱだったりしても、あんまり嫌いになれない。いや、自分のなかで、ダメな家族ものストーリーっていうのはもちろんあって、それは簡単にいうと、家族っていうのは、なにはともあれ愛し合うものでしょ、家族なんだから繋がっているでしょ、っていう前提に無邪気に乗っかっちゃっているものだ。血が繋がっているから、あるいは一緒に生活しているからといって、物語のなかで愛情をほいほい無条件に出されても説得力なんてないし、だいたいそういう物語なんてもう嫌になるくらい聞いてきた。…って頭ではかんがえるのだけど、正直、自分の採点は相当に甘くなっているんじゃないかとおもう。いや、でもいいんだ、だってこういう話すきなんだから。しょうがないです。