新宿シネマスクエアとうきゅうにて。雫井脩介の小説が原作のサスペンス。
作品についてなにかを語ろうとするなら、そのいいところを引き出すように努力すべきだとおもうのだけど、残念なことに、俺にはこの映画独自のよさ、なんてものはほとんど感じられなかった。完全に紋切り型なキャラクターの造形と、まったくもってありきたりなストーリー。予想を裏切られる展開なんて、ひとつもない。サスペンスなのにぜんぜん精密にできていないから緊張感もないし、かといって、この物語を語りたい!という強烈なモチベーションや熱があるようにも見えない。ただ、「警察がTVで犯人に直接呼びかけたらおもしろくない?」というアイデアから、一歩も進んでいない感じがする。ひとつのアイデアにキャラクターのトラウマをくっつけとけば物語に深みが出るだろ、って、あまりに安易な発想をしているように見えて、もうこういうのは大概にしたら、とおもった。エンタテインメントとしてめちゃめちゃ完成度が低い、ってわけじゃないんだけど、あーまたこういう話、っておもうと、ちょっとうんざりしてしまう。映画館には主演の豊川悦司を見に来たんだろうなー、とおもわれる女性もちらほらいたけれど、まあトヨエツはトヨエツでかっこよかったです。しぶくて。