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『始めよう。瞑想 15分でできるココロとアタマのストレッチ』/宝彩有菜

瞑想のやり方とその効果について、かんたんにまとめられた一冊。瞑想の手順自体は30ページ程度にまとめられているので、ぱらぱらっと読んだらすぐにでも始められてしまうところがよい。また、本書の瞑想に対するスタンスは、「瞑想とは、宗教ではなく、科学である」というものなので、瞑想時の脳の働きをいちいち論理づけて説明してくれているところもポイント。なるほどねーってそれなりに納得しながら読み進めることができなければ、わざわざ瞑想しようという気にはなかなかなれないだろう。

紹介されている瞑想の手順をかんたんにさらってみると、

  1. 座る
    静かで刺激のない環境を用意して、座る。無理のない態勢、落ち着いた心持ちをキープ

  2. マントラを唱える
    そのまま、頭のなかでとくに意味のない呪文(マントラ)をひたすら唱える。意味のない言葉を延々と繰り返していると、頭は退屈してもっと優先度の高い案件を取り上げたくなってくる。つまり、さまざまなかんがえ(雑念)が浮かび上がってくる

  3. 雑念を片付ける
    これらの雑念を、ひとつひとつ取り上げては、棚上げしていく。それについてかんがえたり、検討したりするのを、「いったんやめ」にして、先送りにする

  4. 頭のなかが「空」になる
    こうして、頭のなかでぐるぐるしていたもろもろの雑念を一時退避させていくことで、頭のなかのデスクトップがクリーンな状態になる

骨子だけを取り出せば、まあこんな感じだろうか。要は、「落ち着いて、マントラを唱えながら、浮かんできた雑念を片っぱしから保留にしていく」ことで、頭すっきり、快眠快便、ストレスフリー!ということだ。

これといって神秘的なところ、超科学的なところなどない、ほんとうにシンプルな話なのだけれど、じっさいにやってみるとこれが意外にむずかしい。雑念をひとつ片づけるあいだに、ふたつ、みっつと別の案件が顔を出してきたり、肩をつんつんしてきたりするするものだから、なかなかすぐに「空」の状態、完全に無心な状態にまでは辿り着けないのだ。

ただ、あー、自分、こんなにいろんな雑念があるんだなー、ってことはすぐにわかるようになるし、それらをひとつひとつ棚上げしていく作業には、たしかに爽快感がある。瞑想をしているあいだは、自分の頭や心の動きについて意識的になる(扇風機の風や、虫の鳴き声、足の裏の痒みなんかがすごく気になってしまったりもする)わけで、それらがすこしずつ整理されていく感覚っていうのは、なかなかおもしろい。