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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2012-01-01から1年間の記事一覧

コトリンゴ@Duo Music Exchange

Evernoteを整理していると、ブログを更新していなかった頃に見たライブの感想メモがいくつも出てきた。これから何日かかけて、それらの体裁をてきとうに整えたものをアップしておくことにする。 *3/17、渋谷のduoでコトリンゴ。去年、フジロックの木道亭で…

『モンスター上司』

各シーンに笑える仕掛けがいくつも用意されていて、全体的によくまとまった作品になっているのだけど、とにかく主人公たち3人の会話のおもしろさが印象的だった。ニックが話を始めると、必ずカートが横からくだらない口出しをして論点がずれ、デイルがそれを…

『国のない男』/カート・ヴォネガット

本作は、ヴォネガットの遺作となったエッセイ集。2005年、彼が82歳のときの作品だ。内容も文章も、いつものヴォネガット節――文明や環境破壊への批判、アメリカの現状への率直な怒り、皮肉っぽさと裏表にある愛情のこもったまなざし、決して下を向くことのな…

『ドラゴン・タトゥーの女』

DVDで。原作はミステリ小説だけど、映画版においてはミステリ的な要素はぐっと薄められている。推理パートの進行スピードがやたらと早いので、観客の側でいろいろ推理したりかんがえたりするような余裕がほとんど与えられないのだ。結果として本作は、150分…

日記を書くこと(その5)

ここのところ、ブログの更新をすっかりさぼってしまっていた。理由は大きくふたつあって、ひとつは、小説や映画や音楽にいまいち感動できなくなってしまっていたから、もうひとつは、そういう微妙な感想をここに書き残すことに抵抗を覚えていたからだ。情け…

『それでも、読書をやめない理由』/デヴィッド・L・ユーリン

結局、こういう、人を駆り立てるものとか、人が何かを為そうとする理由とかって、その本人にしかよくわからないものなんだろうなー、という気はする。そしてそれはきっと、本人がわかっていれば、本人が確信することさえできれば、それでもう十分なものなん…

『ユービック』/フィリップ・K・ディック

他の多くのディックの作品と同様、『ユービック』においても、世界のありようへの違和感、自分の周囲の世界がどんどん足元から崩れていくような、悪夢のような感覚が全体のムードを決定づけている。ただ、本作では、それに加えて、絶えず迫り来る死の匂い、…

『高い城の男』/フィリップ・K・ディック

本作は群像劇のような体裁をとっており、アメリカ人、日本人、ドイツ人のさまざまな立場の人物たちが代わる代わる登場する。人種も身分もばらばらな彼らが、この世界に対する己の所見を語ることで、枢軸国側の勝利の結果、世の中がどのように変化したのかが…