また、俺がかてきょをやってる小6の男の子の話なんだけど、昨日、「だからさー、pは大文字のPをちっちゃくしたやつじゃん?で、qはそれを逆向きにしたやつでしょー」なんて、アルファベットの小文字の練習をしているときにいきなり、
「あのさー、ナマコストってなんだっけ?」
って聞いてきて。
「なんか友達がよく使うんだけど、ナマコなんちゃら、って覚えたんだよねオレ」
「つーかなんつーの、自分のことに対してなんかえっへん的な」
「えっへん的っていうのはー、だからさー、なんかかっこつけてエラソーにしてるやつに使うじゃん!」
そこまで聞いて、あー、ナルシストのことか、ってわかったんだけど、でも俺がそれを口にしようとした瞬間、
「あ、そうだ、服とか日本風になってきたんだよー」
とか言い出して。俺とこの子との付き合いもそろそろ1年になるわけで、だからまあそれがナイジェリアからの転校生、アニエス(仮名)のことだってすぐに気づいたわけだけど、まったく、こいつはいっつもこういう話の飛び方をする。もちろん、ひとの話だってろくに聞いてない。なんだか、ドラマ「鹿男あをによし」の綾瀬はるかの役をおもいだした。
「だからさー、なんつーの?ふつうのオンナが着てるようなやつ。うん、Tシャツとか。ハートにガイコツとか、なんかそんなの、ふつうのオンナが着てたらべつにふつうじゃん?」
「でもアニエスが着るとぜんぜん別の服みたいで、ちょーかっけーの!なんかわかんねーけど」
「あ、スタイルかー。そうかも、まじ足ちょー長いからなー!シュッ!ってなってる」
「上にあがるのとかちょー速えーの!あ、そうそう階段階段。ずこーんずこーんずこーんって3段飛ばしとかで!」
「でさ、いっつもなんか遠く見てんの、こんな感じで!(目を細めて横を見る)こんな感じ!(何度も同じポーズを決める)まじ衝撃だったわーあれ」
「なんかさー、ランドセルがものすっごいちっちゃく、ってか、太く?感じるんだよなー」
「なんつーか、1cmぐらいの針金に消しゴムがささってるみたいな」
「え?あ!ちげー!!1cmじゃ消しゴムささんねー!短すぎた!」
とかなんとか言って、ひとりでげらげらわらって。こんなやつだけど、なんとか、っていうか、なぜか第一志望の中学に受かってよかったよ…。