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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2026-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『愛しあう』/ジャン=フィリップ・トゥーサン

東京を舞台に、別れを決めた男女が漂わせるウェットな倦怠感を描いた長編。ミニマルな断章形式で、愛の終わりの宙ぶらりんな時間の感触が浮き彫りにされる。独特の浮遊感とメランコリーに、切実さが加わった一作

『まなの本棚』/芦田愛菜

本に対する愛情と、本好きならついつい共感してしまうエピソードが詰め込まれた一冊。芦田愛菜は、沢山本を読んでいるから知性的、なのではなく、きちんと自分で問いを抱えて考えようとする人だから知性が感じられるんだ、とすっかり感心させられてしまった

『ためらい』/ジャン=フィリップ・トゥーサン

些細な予兆から思考が飛躍し、無根拠な断定へと駆け上がっていく…という脳内のプロセス(=妄想)が丹念に描かれる、独特過ぎる一冊。何も起こらないのに不穏な気配ばかりが横溢し、主人公はひたすら「ためらい」続けるだけ、という小説の魅力を考える

『The Other Day』/Quentin de Briey

元プロスケーターの写真家が、25年分の人生の断片を放り込んだ写真集。大胆かつ自由に重なり合う約800枚の写真たちが、規格外のワイルドな「私的記録」として迫ってくる

『本を書く』/アニー・ディラード

なぜ書くのか?ディラードのエッセイを読むと、書くことと生きることの結びつきについて考えさせられる。「あなたは、あなた自身の驚きに声を与えるために存在する」という一節は、この問いへの明快な答えを示しているように思える

『氷』/アンナ・カヴァン

氷に覆われゆく終末世界を舞台に、「少女」への執着に取り憑かれた「私」の語りが展開される。「信頼できない語り手」という言葉では到底足りない、現実と幻想がどろどろに溶け合ったドラッギー過ぎるモノローグを分析する

『この本を盗む者は』

深緑野分原作のアニメ映画。児童文学的にテンポよく展開する物語は小綺麗にまとまっており、誰でも楽しめるウェルメイドな仕上がり。もっとも、優等生的な雰囲気ゆえの物足りなさもどこかに感じられた