Show Your Hand!!

本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2008-01-01から1年間の記事一覧

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』

渋東シネタワーにて。雰囲気重視の、おしゃれ感あふれる映画。映し出される映像、流れる音楽によって描かれるイメージはおしなべて美しく、物語性よりはセンスの方が前面に押し出されている。キャストは豪華だけど、脚本が薄っぺらなために、キャラクターと…

英語を教える

俺がかてきょをやってる男子、Hのこと。Hも4月からは中学生なので、最近は英語を教えている。とは言っても、Hは英語のスペルを読んで発音することはまだほとんどできていないし、例文にしても、"Hello,I'm Ken. Nice to meet you."くらいしか覚えられていな…

合格体験記

俺がかてきょをやっている小6男子、Hが、「合格体験記書いたー!」と自慢げに見せてきた。 <合格体験記> 合格校:○○大付属中学、××中学 生徒氏名:●●●●☆家庭教師をお願いしたきっかけを教えて下さい。 自分の学力を理解し、より偏差値を上げ、合格に一歩…

眠れない夜に

最近、夜なかなか寝つけなくて困っている。俺は基本的にどこでも寝れちゃうタイプなのだけど、今の時期だけはそうもいかなくて、身に覚えのある人ならすぐにピンとくるに違いないそれはもちろん花粉症のせい、鼻のせいなのだ。 くしゃみや鼻のずるずるが止ま…

『クラバート』/オトフリート・プロイスラー

18世紀ドイツ、ポーランド辺りを舞台にしたファンタジー。1971年発表の作品だから、いわゆるファンタジー小説の黎明期に書かれた、古典というやつだ。家を持たず、放浪の生活を送っていた少年、クラバートは、ある日夢のなかで聞こえてきた声に導かれるよう…

もっと奥まで知りたい覗きたいバトン

あこがれの硬派ブロガー、duke377おじさまからバトン(id:duke377:20080310)をいただきました!ありがとうございます!!【ドラえもんの秘密道具でいちばん欲しい物は?】 ドラえもんにぜんぜん詳しくないからわからないんだけど、あごの間接の調子がよくな…

『アクロバット前夜』/福永信

これはおもしろい小説!まず状況のありえない感がおもしろいし、そのありえない状況に対する登場人物の反応のありえなさ、それを描写する文章の視点が変で、ついついわらってしまう。こういうのは、シュールっていったらいいのかな? どうしてこの小説に書か…

『ダージリン急行』

恵比寿ガーデンシネマにて。とってもゆるい映画。こういうのすきだなー。個性の強い3人兄弟(アメリカ人・金持ち)が、“スピリチュアル・ジャーニー”と称してインドを旅して回る。 やっぱり、ウェス・アンダーソン監督の作品でおもしろいのは、ゆるい空気感…

映画バトン

kinutさんのところから拾わせていただきました!はてなで初バトンだー!1.生まれて初めて劇場で見た映画は?劇場版 ドラゴンボールZ 極限バトル!!三大超サイヤ人発売日: 2017/04/10メディア: Prime Videoうーん、『ドラゴンボールZ 極限バトル!!三大超…

『リトル・チルドレン』

1週間くらい前に、早稲田松竹にて。これはすっごいいい映画!これこれ、こういうのを俺は見たかったんだよ!っておもったくらい。全体的に、やたらと伏線が多い(と感じさせる)構成になっていて、めちゃくちゃ緊張させられる。というか、見ていてこんなに脇…

『青色讃歌』/丹下健太(その3)

『青色讃歌』の主人公、高橋は就職活動をしている。だから会社に面接を受けに行ったり履歴書を書いたりするところが小説には描かれているんだけど、どうせだったら証明写真を撮るシーンも書いて欲しかったなー、と読みながらかんがえていた。高橋がどこかの…

『青色讃歌』/丹下健太(その2)

前回、あっちとこっちの区分って感覚がうんぬん、みたいな話を書いたけれど、そういうのは、こんな会話によく表れている。 「そういえば、俺そっちに行くことになったから。仕事決まったんで」 自分から大西に対してそんなことを言ったことに高橋は驚いた。 …

『青色讃歌』/丹下健太

第44回文藝賞受賞作。同時受賞の『肝心の子供』が最高だったので、なんとなくあまり期待していなかったのだけど、いやいや、こっちもかなりいい小説だった!一言で言うと、主人公の高橋(28歳・フリーター・♂)の、何でもないような日常を描いた作品、という…

『ショートバス』

早稲田松竹にて。『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督作、ってことで期待してたんだけど、うーん、これはちょっといまいちだったかも。舞台はニューヨーク。主人公は中国系の女性で、恋愛カウンセラーを職業にし…

ナイジェリアからの転校生(その3)

最近は就活のいろいろで疲れてしまっていて、なんだかあんまり本も読めず映画も見れずな感じなので、今日もかてきょについて書こうかとおもう。俺が教えてる小6男子(以下、H)の話。あ、そうそう、その前に。自分の過去の記事を読み返してみたんだけど、な…

『精霊の守り人』/上橋菜穂子

やや和風な世界観のファンタジー。女用心棒のバルサはふとしたきっかけで、国の第二皇子、チャグムを連れて逃亡の旅をする羽目になった。チャグムには精霊の卵が産みつけられていて、父王からの刺客や、卵を狙う別の精霊も彼らのことを追ってくる。果たして…

ナマコスト/ナイジェリアからの転校生(その2)

また、俺がかてきょをやってる小6の男の子の話なんだけど、昨日、「だからさー、pは大文字のPをちっちゃくしたやつじゃん?で、qはそれを逆向きにしたやつでしょー」なんて、アルファベットの小文字の練習をしているときにいきなり、 「あのさー、ナマコスト…

『楽園への道』/マリオ・バルガス=リョサ(その2)

『楽園への道』には、ゴーギャンが絵を描くシーンがいくつか出てくるんだけど、どれもすごくかっこいい。絵を見なくても文章だけで伝わってくるものはいろいろとあるし、というか文章だけでも十分たのしいんだけど、やっぱり絵を見ればいろいろと発見がある…

『楽園への道』/マリオ・バルガス=リョサ

もうもう、とにかく、すばらしい小説だった!!鮮やかなオレンジに惹かれて本屋で1ページ目を立ち読みした瞬間から、これは絶対いい!と確信していたのだけど、読んでいる間にその確信がぶれることはなかった。 描かれるのは、ペルー総督の血を引く女性文筆…

日記を書くこと(その3)

そういえば、日記を書くというのは「何を書かないのか」ってことを決定する作業なのかもしれない、ともおもう。前に書いたハリエットの話を読んだ後10年以上たっても覚えていたのは、たぶん昔日記に書いていたからで、自分の記憶に残すものを、日記を書く、…

『テラビシアにかける橋』(その2・ネタバレあり!)

観客には、この物語のはじめから、いずれレスリーは死んでしまうか、突然ジェスの前からいなくなってしまうことになるだろう、ってことはわかっている(だって、そういうのって定番じゃん!)。わかってはいるのだけど、それでもノスタルジアを感じながら映…

『テラビシアにかける橋』

吉祥寺バウスシアターにて。もう、これ、すっごくいい映画だった!こういう子供系の話って、ついつい涙腺がゆるゆるになってしまう。泣いてしまうこと自体は作品のクオリティとはたぶんあまり関係ないのかもしれなくて、でもとにかくこの映画の喚起するノス…

『死をポケットに入れて』/チャールズ・ブコウスキー

ブコウスキーの日記。ただ、日記といっても2年半のうちで33日分しかないし、内容についても、ゆるゆると書かれた散文、って印象がある。俺は高校生の頃ブコウスキーがすっごくすきで、この本もたぶんその頃に買ったものだとおもう。当時は、自分のことをやた…

俺の眉毛(とくに右の眉毛)

今日、起きてシャワーを浴びて頭を乾かして鏡を見たときに、眉毛が減っていることに気がついた。全体的な量が減ってうすくなっているような感じもするし、長さ的にはもう明らかに短くなっている。長さっていうのは毛の1本ずつの長さってことじゃなくて、眉…

『ルーツ・ロック・レゲエ』

これは大学の授業で見たんだけど、よかったなー。70年代にジャマイカで撮影された、ルーツロックレゲエに関するドキュメンタリー。 音楽ドキュメンタリーなので、もちろん演奏シーンはふんだんに収録されているし、レゲエは政治、ラスタファリアニズム、社会…

日記を書くこと(その2)

俺が日記的なものをつけるようになったのは、たしか小学校3年だか4年くらい、時期はあんまり定かじゃないんだけど、でもどうして書きはじめたのかってことはよく覚えていて、それは『スパイになりたいハリエットのいじめ解決法』って本を読んだのがきっかけ…

ナイジェリアからの転校生

かてきょやってる子(小6・男子・中学受験生)から聞いた話なんだけど、学校にナイジェリアから転校生の女の子(アニエス・仮名)がやって来たらしい。 「オレさー、本当のガイジンってはじめて見たからまじでびっくりした!色とかちょーまっ黒だし!」 「す…

『ペネロピアド』/マーガレット・アトウッド

トロイア戦争を描いた『イリアス』の続編、『オデュッセイア』で語られるのは、オデュッセウスがトロイア戦争の後、故郷であるイタケーへ帰還する道々の話だ。この小説では、その間じつに20年、オデュッセウスを待ち続けた妻、ペネロペイアの物語が描かれて…

日記を書くこと

修理に修理を重ねて使ってきたパソコンが、3日くらい前にどうやら完全に壊れてしまって、でも今日新しいやつを手に入れたので(お父さんお母さんありがとう!)、またこうして日記を書いているわけなんだけど、この3日間というもの、日記を書きたい欲、みた…

『野性の呼び声』/ジャック・ロンドン

ジョン・クラカワーの『荒野へ』で描かれているアラスカで餓死した青年、クリス・マッカンドレスは、幼いころからジャック・ロンドンの著作の愛読者だったという。そっかー、じゃあ、とおもってこの本を買ってきた。 ひとことでいって、動物ものの小説だ。飼…