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『ショートバス』

ショートバス スペシャル・エディション [DVD]
早稲田松竹にて。『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督作、ってことで期待してたんだけど、うーん、これはちょっといまいちだったかも。

舞台はニューヨーク。主人公は中国系の女性で、恋愛カウンセラーを職業にしている。毎日毎日人のセックスの悩みを聞いてはアドバイスをしているのだけど、自分自身はいまだかつてオーガズムに達したことがない、というのが悩みの種。彼女の夫やSMクイーン、ゲイのカップルや、そのカップルを覗き見する男なんかが主要な登場人物だ。彼らは人との繋がりを求めてか、アングラなセックスサロン(って言えばいいのか?)、「ショートバス」に夜な夜な通いつめている。

はじめから最後まで、まあとにかく性描写が満載だ。オナニーからセックス、乱交のバリエーションが、もう、これでもかこれでもか、って感じに映し出されまくる。もちろん、バイブもディルドも登場するし、画面のインパクトには事欠かないわけだけど、でもなんだかぜんぜんエロい感じがしなかったのにはおどろいた。なんでだろう?

マイノリティな人々のセクシュアリティをあたたかな視線で描き出した、なんて風に言われそうな作品だけど、新鮮さや、はっとするような切り口があるわけじゃないので、正直、見ていてちょっと退屈に感じてしまった。どんな生も性も肯定するようなあたたかさはあるものの、キャラクターの性格の繊細さに、物語の説得力が追いついていないような印象があって。ちょっとおおざっぱすぎる。音楽だけはやたらいいよなー、サントラは欲しいなー、なんて、ずっとおもっていたのだけど、担当がヨ・ラ・テンゴだった、ってことにエンドクレジットで気がついて納得した。すごく映画に合っている。