久々に年末の豊田道倫ソロライブを見る。たぶん2年ぶりくらいだろうか。やはり年の終わりにはこれがないとね、と豊田の年末ライブに行くたびにおもうのだけれど、そのわりにこのブログに感想を書いたのは2011年が最後だった。毎年行っているわけではないとはいえ、12年前…!ブログのサボりっぷりがひどすぎる。
神田のPOLARISには初めて訪れたのだけれど、小さくてクリーンなイベントスペースという印象。以前豊田が年末ライブをやっていた渋谷のO-nestと比べるとぐっと小さな箱だ。二面がガラス張りになったビルの一階に位置しているので、横や後ろを向けば街路が見える開放的な空間になっている。座ってじっくり聴ける環境で、音も良い感じだった。あと、演者と客席の距離がほとんどないので、ライブハウスだと何を言っているのかいまいちよくわからないことも多い――喋り声がもごもごしていて聞き取りにくいのだ――豊田のMCもよく聞こえるのがよかった。
本編はギターで十数曲を、アンコールではピアノとギターでそれぞれ数曲を演ってくれた。久々に生で聴く豊田の音楽は、ボーカルの味わいも独特の間合いも、歌詞のムードも全体に滲み出まくっているDIY感もやっぱり好きで、本当に単純にすごくいいなあとおもう。音楽を聴いていて単純にいいなあと感じられることというのは年とともにどんどん減ってきている気がするので、こういう感覚は貴重なのだ。
豊田のライブを聴いていて毎回のようにおもうのが、音楽に集中しているのか、自分の頭のなかにある記憶や思い出の感触みたいなものに集中しているのか、途中でよくわからなくなる感じがある、ということだ。それは単にソロでの演奏で音がシンプルだからなのか、歌詞の映像喚起力が強いからなのか、この曲を聴いていたあの頃はこうだったよな的に記憶の襞に触れるようなところがたくさんあるからなのか、はっきりとはわからないのだけれど、その感じがとても好ましいとおもうし、だからこそ年末には彼の音楽を聴きたい気持ちになるのではないかという気がする。
とくに印象深かったのは”サマー・ソフト”、”居酒屋たよこ”、”北風小僧の寒太郎”。