ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術
- 作者: 立花隆
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/04/16
- メディア: 単行本
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特徴的なのは、こんなのいったい誰が読んでるの…?とおもいたくなるようなマイナーな本やニッチな専門分野の学術書が大量に取り上げられているところ。自分ではまず手に取ることなどなさそうな本たちが次々に紹介されていくのだけれど、立花が関心を抱いた部分だけが超簡潔にまとめられているから、どんどん読めてしまう。とにかく濃度の高い一冊だ。
(もっとも、その分、読んだ先から忘れてしまいそうでもある。こういう読書ガイドやまとめ系の本について、「この一冊を読めば大量の読書をしたのと同じような効能が得られる」的なことがよく言われるけれど、怪しいものだとおもう。少なくとも俺の場合、内容はほとんど記憶に残らないと言ってもいい。まあ、本書のなかでも、「目標は、読む人にその本を読みたい気持を起こさせ、本屋の店頭にあったらそれを手にとってみたい気持を起こさせるところにある」と書かれているくらいなので、ガイド本というのは、「知識が得られる本」というよりは、「知識を得るためのきっかけが得られるかもしれない本」くらいにかんがえておくのがよいのだろう。)
立花は、「全文通読が基本的必要条件となっているたぐいの本」、つまり小説やエンタテインメント系の本、ノンフィクションでも時系列の筋道に沿って書かれたものなどは基本的には読まないのだという。
日常の生活が忙しくて、そういうタイムコンシューミングな(時間ばかりくってしょうがない)本につきあっているヒマがないからである。たとえこれからヒマがあったとしても、これまでの経験によると、そういったたぐいの本でそれだけの時間を費やすかいがあったものはほとんどなかったから、これからも読むことはほとんどないだろうと思う(人生の残り時間がどんどん少くなりつつある)。そういう本は、「ヒマは沢山あるので、タイムコンシューミング大いにけっこう」というヒマ人にまかせておきたい。(p.21)私はこの世の中には、そういう趣味人たちが一生ページを開くことがないであろうような本の中に、彼らが好む本よりも何倍も大事な本が山のようにあると思っている。私のページはそういう本のためにささげられている。スタイル、内容もぜんぜんちがう。身辺雑記的なことはおよそゼロ。ひたすら、私がすすめる本の中身についての情報を詰めこんである。それもできるだけムダを省き、有効情報だけを圧縮して、濃密に詰めこんである。
情報の中心は、その本が読む価値があるか否か。読む価値があるとして、どの点においてあるのか、である。(p.22)
先日のエントリで取り上げた、小説家による書評集の『快楽としての読書』や、趣味人による本の極みとも言えそうな『漱石全集を買った日』で書かれているのとは真逆の読書観だと言っていい。言葉や文章表現を味わうなど二の次、情報を摂取することこそが本を読む目的だ!というタイプの読者の極北に位置するのが、立花隆だと言えるだろう。