- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2009/10/21
- メディア: DVD
- 購入: 4人 クリック: 75回
- この商品を含むブログ (134件) を見る
それはやっぱり、ゲイの人々のマイノリティがゆえの苦しみってものが具体的に描かれているからだろう。ゲイだろうがストレートだろうが、大抵の人はきっと日常のなかでマイノリティとして辛いおもいを経験したことがあるだろうし、そうでなくても、少なくとも、そういった経験や気持ちを自分に照らし合わせてかんがえてみること、想像すること、そういうところからしか他者を排除したり包摂したりするのではないコミュニケーションのかたちは生まれ得ないとおもう。人は他者の思考や感情を完全に把握することなどできないのだから、どうしたって理解できないこと、決して越えられないようなギャップというのは必ずある。でも、それだからこそ、人はそのギャップ越しにでもコミュニケーションを取っていくべきなのだろうし、取っていかなくてはならないはずだ。この映画ではミルクがそんなコミュニケーションへの願いや希望の象徴になっているのだけど、そこには監督であるガス・ヴァン・サント自身の感情もたっぷりと込められているようにおもえて、俺はぐっときた。
あと、ショーン・ペンって俺のなかではものすごいマッチョでこわいおっさん、っていうイメージがほとんど(『ミスティック・リバー』のイメージが強過ぎて…)だったんだけど、この作品のなかでは本当に暖かいほほえみを浮かべているシーンがたくさんあって、これが役者ってことか…すげえな、なんて、素朴なことをしみじみとおもった。