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『パリ20区、僕たちのクラス』

早稲田松竹にて。パリの移民地区にある学校を舞台に、ある国語教師と24人の生徒との1年間を描いた作品。さまざまな人種の生徒が入り交じった学校の日常を、素人を中心としたキャストで臨場感たっぷりに映し出す…!という感じの、ドキュメンタリー風のタッチが印象的だった。認識の相違やコミュニケーションの不全、理想とはあまりにかけ離れた現実の教室、一教師であると同時にやはりひとりの人間でもあるということ、などといった定番のテーマが、移民の子供たちとフランス人教師とのやり取りを通して丁寧に提示されている。

ただまあ、何ていうか、それなりにリアリティがあるのはわかるのだけど、物語としてはとくに魅力的じゃないよなー、というのが正直な感想で。子供たちの演技のナチュラルさはたしかに凄い――どうでもいいようなことで教師にいちいち口答えしたり、生意気な発言で挑発したりするところなんて、ああ、こういうシーンってじっさいに見たことあるよなーとかおもわされる――けれど、こんな脚本だったら、もう実際にドキュメンタリーを撮っちゃった方が効果的なんじゃないか、とかおもったりしてしまった。リアリティ重視のせいか、登場人物にもエピソードにもとくに魅力を感じられなかった、ってところがとにかく痛い。取り扱っているテーマに対して誠実に向き合っているのはわかるのだけど、観客を引き込む力に関してはいまひとつであるように感じた。