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『統計学が最強の学問である』/西内啓

Kindleにて。統計学とはいったい何か?統計学からいったいどんなことがわかるのか?統計学が必要とされるのはどういったシーンにおいてなのか??について、わかりやすく書かれた入門書だ。(まあ、本書を読んだところで実践的なデータ解析が行えるというわけではないので、入門書というより、啓蒙書といった方が適切かもしれない。)

統計学の技術によって集計されたデータを目にする機会の多い今日この頃だけれど、どういった統計に意味があって、どういった統計は無意味なのか、それを知っておくのは、情報を正しく読み解く上では大事なことだ。「コーヒーを毎日飲む人が健康である7つの理由」的な記事はネット上に溢れ返っているけれど、そういった情報の背後にある統計情報はいったいどういったものであり、どのように解釈された内容であるのか(どのように偏向しているのか)、ということがある程度理解できなければ、われわれはその情報を鵜呑みにする他なくなってしまう。

西内は、データをビジネスに利用し、利益を得るためには、少なくとも以下の3つの問いに回答できる必要があるだろう、と言う。

【問1】何かの要因が変化すれば利益は向上するのか?
【問2】そうした変化を起こすような行動は実際に可能なのか?
【問3】変化を起こす行動が可能だとしてそのコストは利益を上回るのか?

これらに明確に答えることができなければ、それはまだ利益を得るための見通しが立っていない状態である、というわけだ。

本書の主張をひとことでまとめるならば、「この国にはまだまだ統計リテラシーが不足している。不毛な議論を回避し、データを有効に活用すべく、みんな統計学を学びましょう」といったところになるだろう。本書を読めば統計学の重要性というのはそれなりに腹に落ちるようにはなっている(というか、「統計学の重要性」以上のことは、本書にはほとんど書かれていないといってもいい…)ので、その後、より実践的な本を読んでいくのがいいのだろうとおもう。