DVDで。チープな味わいのサスペンス映画。ジョンとレイの夫婦(サム・ニール、ニコール・キッドマン)は、息子を自動車事故で失った悲しみを癒すべく、ヨットでクルージングに出かける。彼らは航海の途中、ボートに乗ってやって来た妙に顔の濃い若い男、ヒューイ(ビリー・ゼイン)をヨットに乗せることになる。ヒューイは、エンジンが壊れてしまって船が動かなくなった、おまけに一緒に船に乗っていた仲間はみんなボツリヌス菌で死んでしまった、などと言ってはひとりでぶるぶる震えており、あからさまに不穏な雰囲気を醸し出している。ジョンは、ヒューイの船のようすをこっそり調べるべく、ボートに乗り込むのだったが、その隙にヒューイはヨットを乗っ取ってしまい…!
主要な登場人物は3人だけ、舞台はふたつの船と海だけ、っていう、きわめて限定された設定の下でプロットは進行していく。シチュエーションものサスペンスのお手本のような作品だと言っていいだろう。ジョンは沈没しつつあるヒューイの船からの脱出のためにひとり奮闘し、レイはヨット内での主導権をヒューイから取り戻すべく、命がけの駆け引きをすることになる(お約束の、セクシーなシーンもある)。
まあそういうわけで、いかにも低予算のジャンル内映画って感じの作品なのだけれど、いま見るとなかなかの豪華キャストではある。とくに、終始にやにやしているビリー・ゼインがとっても気持ちわるいのがよい(もちろん、彼は、頭のネジの外れたサイコ野郎、って役回りなのだ)。あと、ニコール・キッドマンって、そのゴージャスな存在感のわりに妙に声が女の子っぽい感じだよね、と改めておもった。なんていうか、ギャップ的なキュートさがあるのだ。(あ、でも、本作における彼女はまだまだ若いので、そんなにゴージャスというわけではない。なにしろ、1988年の作品なのだ。)