吉祥寺バウスシアターにて。ひとりの人間というより、ひとりの革命家としてのゲバラを描いた、って感じの映画。派手さはないけど、誠実な作風、という印象だった。武力闘争による反政府運動にきれいごとはないこと。ゲバラはまっすぐな理想主義者だが、カストロはもっとしたたかな政治家であったこと。そのあたりがきちんと描かれていたところがよかったかなー。
全体的にドキュメンタリーっぽい映像で、ゲバラの視点を中心に、ケレン味少なく、淡々とキューバ革命が描かれていく。クールというかほとんど地味なくらいの演出だし、画面で起こっていることの説明や、物語を盛り上げる音楽にしても、できる限り取り除かれているようで。なかなかに禁欲的な、まじめな映画だと感じた。
もともと前後半に分かれているものじゃなくて、4時間超の大作が分割されたものだから、いまはまだちゃんとした感想を書きにくいのだけど、いい映画だった。『39歳 別れの手紙』もたのしみ。ただ、ひとつだけ苦言を呈したいことがあって、それは、冒頭に流れる教育番組ちっくな「チェ・ゲバラについて」っていう解説ビデオの存在。なんだか気持ちが萎えてしまうのでああいうのはやめて欲しいなー、とおもった。