タイトルはど派手だが、内容的には結構まっとうなことが書いてある一冊。たしかにいまの世の中でふつうに生活していると、インプットばかりになってしまいがちだ。音楽も映画も聴き放題、見たい放題のサービスがあるし、電子書籍、オーディオブックだって同様、おまけにSNSには絶えず大量の情報がアップされ続けている。これらを日々摂取しているだけで、消化不良になってしまう…というのはおそらく誰しもがわかっていることなのだけれど、でもインプットは簡単でたのしいし、アウトプットは面倒でなかなか続かない、というのが本当のところだろう。なにしろアウトプットというやつのためには頭を使わなければならないし、自分のおもうような品質のものを出力し続けるというのはなかなかに難しい。自然、多くの人がアウトプットから遠ざかってしまっているわけだ。成毛は、こんな文言で読者を執拗にアジテートしてくる。
アウトプットを意識的に行っているビジネスパーソンは極小だ。私の実感としては全体の0.1%にも満たない。となるとアウトプットをするだけで、圧倒的多数の他者と簡単に差別化が図れることになる。(p.7)
アウトプットを意識すること、そして実際にアウトプットすることは、インプットだけをしている大衆からの脱出を可能にする。大衆でいたい人には、アウトプットはすすめられない。
情報を自ら発信して、また新たな情報を得る。あなたがやらなければいけないのは、その繰り返しだ。
インプットの時代はもう終わっている。
これからの時代は得た知識や情報を、カタチにできる者だけが生き残っていく。(p.8)
アウトプットに対して尻込みする人の中には、アウトプット慣れしていないことをその理由に上げる人も要る。
はっきり言うが、それがアウトプットしない理由として通用すると思っているなら、一生、何があっても、アウトプットは上達しない。(p.26)
インプットをするくらいなら、その時間をアウトプットに費やすべき。私がそう断言するのにはもちろん理由がある。
今の日本の大人は、インプット過剰なのだ。アウトプットがまったく足りていない一方で、インプットばかりが過剰になっている。(p.39)
本書に、「インプットした情報を「お金」に変える黄金のアウトプット術」が書かれているかと言うと、正直かなり微妙なところだけれど――とにかくアウトプットしなきゃはじまらないよ!ってことと、アウトプットのための本当にちょっとしたTipsくらいしか書かれていない――ともすればアウトプットをすぐサボりそうになってしまう自分にとっては、いい刺激になった一冊だった。