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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

『本は10冊同時に読め!――本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 』/成毛眞

お金に支配され続ける「働きアリ」ではなく、自分の頭で考えて行動する「クリエイティブ・クラス」になれと説く、成毛眞の自己啓発/読書術系エッセイ。本を読まない人は人と同じことしかできず、真に成功することはできない、だとか、本を読まない者はサルである、とか、一流の経営者で本を読んでいない人間などいない、とか、とにかく口が悪いというかばっさりやりがちなのが芸風の成毛だけれど、とにかく実績があるということと、物言いが潔いところが魅力的で、本書も(内容は濃くはないけれど)なかなかたのしく読むことができた。

私はいいかげんな人間だし、ふざけた人生を送っていると思う。 だから、「あなたは何のために生きているのか」と問いかけられたら、「遊ぶため」とキッパリ答えるだろう。 人生は遊ぶためにあり、仕事も道楽のひとつである。(p.45)

私は、自分の娘には一流大学に行くことも、一流企業に入ることも、親孝行も望まない。自分の頭で考える人間になってほしいと願うだけである。 本さえ読んでいれば、政治家や医者になろうが、泥棒やテロリストになろうが、一向にかまわないと思っている。(p.98)

今の生活に満足していないのなら、そして将来に不安があるのなら、まず読書を始めたほうがいい。 そして、まじめにコツコツ働いている生き方を見直して、もっといいかげんな生き方をしてみることだ。人生は道楽である。愉しみつくした人が勝ちなのだ。 亡くなったとき、周りから「あの人はまじめでいい人だった」と思われる程度ではやがて忘れられてしまう。 「あんなにふざけたヤツはいなかった」と思われるくらいでないと、人生の主人公を演じきったとはいえないだろう。(p.170,171)

こういう物言いばかりなのだが、ここまできっぱりしているともはや気持ちいいし、共感できてしまったりもする。

本書で提唱されている読書術というのは、「隙間時間をできるだけ活用し、たくさんの本を平行して読むこと」「なるべく自分の仕事とは離れた分野の本を読むこと」、まあそのくらいだと言っていい。だが、これらをきちんと実行し続けることに大きな意味があるというのは、たしかなことだろう。