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豊田道倫 with 昆虫キッズ@渋谷o-nest

29日。o-nestにて、豊田道倫と昆虫キッズのライブ。年末に豊田のライブを見ると、あー今年ももう終わっちゃうんだなあって実感したり、またちゃんと見れてよかったなー、なんてしみじみおもったりもするのだけど、今回はそんなセンチメンタルな気分を一息で吹き飛ばしてしまうようなラウドでエネルギッシュなライブだったのであって、もう最高にたのしかったとしか言いようがない。全体で3部構成になっていて、1部が昆虫キッズ、2部が豊田道倫ソロ、3部が豊田道倫 with 昆虫キッズという流れ。

昆虫キッズってバンドは、秋に出た豊田道倫 with 昆虫キッズ名義のCDではじめてその存在をしったのだったけど、曲中に詰め込まれたアイデアと演奏のスピード感、問答無用のエナジーに満ち満ちたバンドで、今回のライブですっかりファンになってしまった。どたばたと動き回るキース・ムーン系のドラムにじゃりじゃりしたギターとベースが乗っかって、その上で超エモーショナルかつ超不安定なボーカル(♂)ととびきりキュートなボーカル(♀)がゆらゆらしている。荒っぽくも生き生きとした、見ていて元気になっちゃう演奏って言ったらいいのかな、もうとにかくたのしい。佇まい的にもかっこいいし、曲自体もどういう系って言いがたい、ふしぎな魅力に溢れたものばかりで、やばい、すごいバンドを見ちゃったかも…!とおもった。

そして豊田道倫なのだけど、いまの彼のモードがこんなにアッパーでロックなものだとはしらなかったから、本当にびっくりした。ソロパートではいつも通り、しぶいシンガーソングライター然とした感じでやっていたくせに、3部のバンド編成では見ていて笑っちゃうくらいロックンロール。がんがん叫んで、ギターかき鳴らして。おまけにピック投げまくりだし、帽子もマイクも投げるし、まさかの客席ダイブまで敢行しちゃって、ぜーぜー言っていたけど、こんなみーくんはじめて見たっ!とおもって興奮したし、感動させられた。ロックなおっさんってかっこいい。

1部から3部、アンコールまで全部よかった。こんなに頭の先から尻尾までぜんぶたのしいライブって、そうそうない。バリバリと脳髄に響くギターとベースも、生で見てみるとやっぱり超うまいドラムも、ピッチの怪しいボーカルのシャウトも、チープな感じの照明も、普段のみーくんのライブではかんがえられないくらい揺れるo-nestの床も、おもいおもいのやり方でライブをたのしんでいる観客たちも、ぜんぶひっくるめてこの時間、この空間がすごい好きだな、って見ているあいだに何度もおもっていたし、元気に演奏されたアンコールの"移動遊園地"では泣きそうにもなってしまった。今年最後のライブがこれでよかった。最高だった。

ABCD

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