僕が自分の作品で何度も言及したように、弱者は全員、自覚して死ななければならないのだ。(p.156)
はっきりと断言してみせる佐藤がこの後も書き続けている小説を、読まないわけにはいかない、とおもう。俺は『フリッカー式』の感想には、作品を作品として成立させるところの切実さみたいなものがあまり伝わってこない…なんて書いていたけど、この『クリスマス・テロル』にあるのは切実さばかりじゃないか、とおもって、ぐっときてしまった。
あと、『クリスマス・テロル』の文庫版の解説では、この本が書かれた経緯について佐藤自身がていねいに状況説明をしていて、おもしろかった。『水没ピアノ』までは一向に重版がかからなくて、もうぶっちゃけ作家としてやってけないかも…とおもっていた、みたいな話をいちいち詳細に書いているのだ。まったく、ほんとにひねくれてるけど、すげえいいやつな気配がどこかしらにあるんだよなー、なんておもって、本屋で立ち読みしながらわらってしまった。