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『スタンド・バイ・ミー』

スタンド・バイ・ミー  (字幕版)   
早稲田松竹にて。もうほんとよかった!ノスタルジアを刺激しまくる、シンプルかつ最高の作品だよなーと改めておもった。作品そのものが内包している感傷に加えて、小さいころからテレビの金曜ロードショー的なやつで何度も見ている場面の数々も記憶のあちこちにタッチしてくるものだから、俺は見ながら何度も涙がちょちょぎれそうになった。いかにも夏の映画、ってイメージも、“子供時代”みたいなものと直結しているようで素晴らしい。

4人の少年たちの友情の物語でもあれば、成長すること、ある種の出来事を通過すること、の物語でもある。なんて書くと、なんだかいかにも薄っぺらで嫌になってしまうのだけど、でもぐっとくるのはやっぱりそういうところだとおもう。子供のころへのノスタルジアの強度こそが、映画への感情移入のための、超強力なトリガーになっている。失われゆくものへのおもい、ってきっと誰もが持っているもので、この映画はそれを余計な装飾なしで描いているところがいい。

エンドロールを見ながら俺がかんがえていたのは、自分の小学生のころのことだった。なんていうか、あのころの友だち同士の関係って、それ以降とはぜんぜん違うものだったなー、なんて。周りのありとあらゆる大人をばかにしているくせに、変にオトナぶっていたりとか(ま、他にもいろいろ…)、我ながらむちゃくちゃひねくれた嫌なガキだったとおもうけど、でも本当にガチで友だちとぶつかり合ったりしたことがあったのなんて、あのころくらいだったんじゃないか、とか。

うまく言える気がしないんだけど、子供はイノセントな存在なんかじゃない。なんか、そういう言い方はぜんぜん違う、とおもう。そうではないんだけど、でも、時折、それは大人になって振り返ったときにようやく見出せる一瞬のきらめきのようなものにしか過ぎないのかもしれないけれど、まさにイノセントって感じられるような振る舞いをしたり、かんがえを持ったりすることは、たしかにある。きっとそういう奇跡みたいな瞬間の記憶が、オトナを形作っていくのだろうし、だからこそ、大人は子供に積極的にイノセンスを見ようとする、見たいとおもうんじゃないだろうか。そんなことをぼんやりとおもった。