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『コーヒー&シガレッツ』

コーヒー&シガレッツ [DVD]
DVDで。ジム・ジャームッシュ監督の、11本のモノクロ短編を集めた作品。コーヒーとタバコが出てくるよ、ってこと以外には短編同士に明確な繋がりはなく、ただ登場人物たちがテーブルを挟んでだらだらした会話を繰り広げるだけ。この、だらだら感、ゆるい感が実によい。

これはストーリーの快感みたいなものが欠片もない映画であって、カタルシス的なものも当然ない。あるのは、何となく噛み合わない会話、ちょっと気まずい空気、あとはまあ、センスのいい音楽くらいじゃないか。ジャームッシュじゃなかったら、こんな作品許されないよなー、って気もしなくもない。どの短編も、とにかくひたすら盛り上がらない、くだらない会話が描かれているだけなんだけど、その会話の“間”の感じがすごくよくて、俺はなんだかいい映画を見たきぶんになった。あれはなにがいいんだろうなー。かんがえてもよくわからない。11本のなかでいちばんおもしろかったのは、トム・ウェイツとイギー・ポップの絡み。おどおどするイギーの表情が無駄にかわいくて。

集中して、のめり込むようにして見る映画では全くないけど、雨の午後に、家でコーヒーとタバコを用意して見るぶんには十分過ぎるくらい素敵な作品だった。やっぱり、コーヒーとタバコのコンビネーションはつよいと実感する。