まあ、要はインタビュー集なわけで、しかも相手はインディーレコード会社の人々なのであって(つまり、ステージに立つ側ではない)、読みものとしておもしろいかと言われれば、正直微妙なところではある。なにしろ、ドラッグの話ばっかりなのだ。ただ、俺はこのクリエイションってレーベルにわりとおもいいれがある(ほとんどリアルタイムでは知らなかったけど、そんなの別にいいよね!)ので、彼らの熱のこもったことばには、結構ぐっときたりすることもあった。
クリエイション創設当時の気分を表したことばを引用しておく。
ジェフ・バレット「彼(アラン・マッギー)はこれまで決して金儲けのためだけにやってきたことはない。それは改革とかなんとか、大げさなものではない。ただ単に「ブリティッシュ・レールで働いてきて、この街にも長く住みすぎた。ここで一発打ち上げて、ただやってやるだけ!」。そう言って、その少年は実現した。」(p.22)
アラン・マッギー「俺たちはモッズじゃない。いつだってパンク・ロッカーだ。」(p.31)
「トニー・フレッチャーが、ある記事の中でこんなことを書いてたんだ。/フレッチャーの最後の一行はこうだった。「座り込むな。パンク・ロッカーだったらクラブを作れ。バンドを組め。雑誌を作れ。映画を作れ。自分の人生でできることを、なんでもいいからやってみろ」。ぼくはこの言葉ですべてを確信した。」(p.37,38)
彼らのことばから見えてくるのは、ステージの上にいるやつらだけがパンクなのではない、という主張だ。それまで誰も気づくことのなかった新しい才能の芽を発掘し、送り出す、ということだって、まさにパンクであり、クリエイティブな行為なのだ、って自負がそこには感じられる。もちろん、パンクであるとかそうでないとかなんてことは、世の中の大半の人にとっては本当にどうでもいいことだ。でも、彼らはとにかくやってのけた。ジーザス&メアリーチェインやマイブラッディバレンタインを発掘し、プライマルズやオアシスをヒットさせた。たくさんの欠陥や弱さや間違いを抱えつつも、行動によって自分のあり方を示したのだ。そこが実にかっこいい。