Show Your Hand!!

本、映画、音楽の感想/レビューなど。

鼻詰まりの日

土曜日。風邪をひき、頭痛に加え、鼻をつまらせた俺は、ぐずぐずとベッドに横たわり、寝たり起きたりを繰り返していた。そんなに熱があるわけではないのに、自分の場合、鼻が詰まっていると気合がまるで入らないのです。ほぼ一日中、何をするでもなく過ごし、テレビを見つづける俺。夜、『フラガール』が放映されるとの情報を入手し、じゃあそれまで起きていようとおもう。蒼井優がいいらしい。踊りのシーンがあるなら、そりゃいいだろうね。最近見た『花とアリス』でも踊りのシーンがクライマックスだった。

フラガール(スマイルBEST) [DVD]

フラガール(スマイルBEST) [DVD]

  • 出版社/メーカー: ハピネット
  • 発売日: 2008/02/08
  • メディア: DVD

『フラガール』は予想以上にベタベタな映画だった。なんかネットとかでも皆ほめているから、いろいろとひねりが効いた作品なのかとおもっていたのだけど、そういうのではなく、ごく単純に、ベタの力が満ち満ちていると感じた。俺は、先生とフラガールたちとの別れのシーンでうるうるした。蒼井優というより、松雪泰子の役どころがぐっときました。あとは、やっぱりダンスのちからってつよいなーとかね、おもったり。でもこれ映画館で見たら、やっぱりみんなして泣いたのかなー、なんてかんがえたりもした。こういうタイプの映画には、「観客の感情をコントロールしたい」というつよい欲望、モチベーションがあって、それがこのベタの強度を生みだしている、ということがある程度いえるとおもうのだけど、うーん、そういうのもいいじゃない、といいたくなった。だってさ、泣いちゃうよな、これは。

のはらうた (1)

のはらうた (1)

  • 作者:くどう なおこ
  • 出版社/メーカー: 童話屋
  • 発売日: 1984/05/05
  • メディア: 文庫

映画を見て興奮したためか、今度はなかなか眠れないので、先日古本で買った『のはらうた』を読む。当然音読する。『のはらうた』を読んだのはおそらく15年ぶりくらいかとおもわれるけれど、心身ともに弱っている俺は、読みながら、深夜、ベッドのうえでひとり悶絶した。“てんとうむしまる”の「とべ てんとうむし」や、“かまきりりゅうじ”の「おれはかまきり」なんかを、バイトでわがままな小学生を教える際にのみ用いる、とっておきの声音で、感情をこめまくって詠みあげる。

おう なつだぜ / おれは げんきだぜ / あまり ちかよるな / おれの こころも かまも / どきどきするほど / ひかってるぜ

眩しい。ぐずぐずな俺は、どきどきするほどの眩しさにあてられて、溶けてしまいそうになりつつも、一時間ほどかけて『のはらうた』に収録されているすべてのうたを音読しきった。