ポール・オースター
オースターの2008年作。2000年代にオースターが書いていた「部屋にこもった老人の話」の第5作目ということで、本作も、ひとりの老人が自室の暗闇のなかで眠りにつくことができず、頭のなかで物語をあれやこれやとこねくり回している場面から始まっている。 …
オースターの2007年作。シンプルな四角い部屋のなかに、老人が一人。彼には何の記憶もない。部屋の天井には隠しカメラが設置されており、その姿を撮影し続けている。やがて、彼の元をさまざまな人物が訪ねてくるのだが…! 長編と呼ぶには分量少なめの本作は…
オースターの小説の主人公は、作者の年齢とともに少しずつ年寄りになってきているけれど、本作の語り手はもうすぐ60歳、壮年期も終わりに差し掛かり、すでに仕事をリタイヤしたおっさんである。そんなおっさんが、オースターの小説の主人公らしく、延々と内…
オースターは、ごく若い頃に友人から安く手に入れたタイプライターをいまだに使い続けている。聞く限りでは、コンピュータというやつはどうも信用ならないもののようだし(間違ったキーを押すと、原稿がいきなり消えてしまったりするっていうじゃないか!)…
映画『ルル・オン・ザ・ブリッジ』の脚本をひさびさに読む。オースター作品のなかでもとりわけファンタジーめいた本作(なにしろ、夢オチなのだ)だけれど、扱われているテーマはヘヴィで、胸にずっしりとくる。個人的には、すごくすきな作品だ。サックス奏…
出ればどうしたって買ってしまう、オースターの新刊。新刊と言ってもじつは2003年作で、翻訳が出るまでに意外と時間がかかってるんだなーと改めておもった。長い病からようやく回復した主人公は、何気なく入った文房具屋で青い表紙のノートを買う。彼はその…
最近翻訳が出た、ポール・オースターの2002年作。飛行機事故で妻と2人の子供を失い、生きる気力をすっかり無くしていたデイヴィッド・ジンマーを救ったのは、ある一本の無声映画だった。映画の主演であり監督でもある人物、ヘクター・マンは過去に謎の失踪を…
うーん、オースターの小説にしては少し物足りなかったかも。俺がオースターの作品でおもしろいとおもうのは、(『偶然の音楽』とか、『ムーン・パレス』みたいな)“肉体/精神的にぎりぎりの極限状態におかれた主人公の思考がスパークして、なんだかよくわか…
なんとかゼミの発表も切り抜け、あと1こレポートを書いたら冬休み。やったー。って書いてみても、べつにあんまり気分は盛り上がらない。なにしろ、俺はふだんから大して授業にも出てない、だめ大学生なのであって、休みだろうが休みじゃなかろうがあんまり日…