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本、映画、音楽の感想など。

イギリス文学

『贖罪』/イアン・マキューアン

贖罪作者: イアンマキューアン,Ian McEwan,小山太一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/04メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 195回この商品を含むブログ (36件) を見る クラシカルな文芸大作の体裁をとった、マキューアン流のラブストーリー。とはいっ…

『『嵐が丘』を読む ポストコロニアル批評から「鬼丸物語」まで』/川口喬一

『嵐が丘』を読む作者: 川口喬一出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2007/05/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 『嵐が丘』に関するさまざまな文学批評、読みの方法が取り上げられた一冊。さすが古典と言うべきか、ロマン主義の表現主義…

『嵐が丘』/エミリー・ブロンテ(その2)

前回のエントリでは、本作の登場人物は全員が全員、超エゴイストだという話を書いたけれど、『嵐が丘』を『嵐が丘』たらしめているのはやはり、ヒースクリフという人物の造形だろう。彼の復讐にかける異様なほどの執着心こそが、本作全体の激烈さの震源地な…

『嵐が丘』/エミリー・ブロンテ

いやーおもしろかった!さすがは古典中の古典、これを読んで何の感興も抱かない人などどこにもいないだろう、っておもえるくらい、パワフルで心揺さぶられずにはいられない、文字通り嵐のように激しい小説だった。物語の舞台は19世紀のイングランド北部、ヨ…

『アリーテ姫の冒険』/ダイアナ・コールス

「かしこい」お姫様、アリーテ姫が、男たちの悪巧みをひらりひらりとくぐり抜け、強く、どこまでも自然体のままで生きていく…という童話。古色蒼然とした「お姫様」像を塗り替える、頭脳派で行動派、プラス思考なヒロインが魅力的な物語だ。 「姫、おまえが…

『オズワルド叔父さん』/ロアルド・ダール

ダールの長編。オズワルド叔父さんなる男――「鑑定家、陽気なお人好し、蜘蛛と蠍とステッキの蒐集家、オペラ愛好家、中国磁器の権威、女たらし、それにたえて偉大なる姦夫でなかったためしはない」男――がいかにして巨万の富を築くに至ったか、についての物語…

『ソーラー』/イアン・マキューアン

ソーラー (新潮クレスト・ブックス)作者: イアンマキューアン,Ian McEwan,村松潔出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/08メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (4件) を見る ちび、でぶ、はげでジャンクフードと女が大好き、ノーベル賞を受…

『ハムレット』/ウィリアム・シェイクスピア

本作の何よりの魅力は、やはりハムレットというキャラクターの「底の知れなさ」にあるだろう。テキストからは、ハムレットの心情の奥底の部分、ハムレットを突き動かす本当の動機、ハムレットに取り憑いた狂気の真正さ、などといったものを明確に推し量るこ…

『ヴェニスの商人』/ウィリアム・シェイクスピア

ヴェニスの商人 (光文社古典新訳文庫)作者: ウィリアムシェイクスピア,William Shakespeare,安西徹雄出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/06/01メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 30回この商品を含むブログ (32件) を見る どうも最近だと、「シャイロック…

『ジェイン・エア』/シャーロット・ブロンテ

主人公、ジェインの魅力は、何といってもその意志力の強さだろう。文字通り自分の意志の力ひとつで人生と格闘し、運命を切り開いていくその姿は、とにかくかっこいいとしか言いようがない。ジェインの意志力は、物語冒頭では不幸な生い立ちからの脱却への志…

『トムは真夜中の庭で』/アン・フィリッパ・ピアス

トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))作者: フィリパ・ピアス,スーザン・アインツィヒ,Philippa Pearce,高杉一郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/06/16メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 54回この商品を含むブログ (100件) を見る これは素晴…

『初夜』/イアン・マキューアン

タイトルの通り、とあるカップルの初夜を描いた中編。近年のマキューアン作品の特徴といえば、流れるような文体にきめ細やかな心理描写、かっちり構築されたプロット、いかにもイギリス人って感じのアイロニーなんかが挙げられるとおもうけれど、本作でもそ…

『灯台守の話』/ジャネット・ウィンターソン

これはすごくよかったなー。全編に漂う、凍える夜や小さな光、静かな海のイメージが印象に残る、素敵な小説だった。舞台はスコットランド北西部。寒々しく、何もないような荒涼とした土地で、母を亡くした少女シルバーは盲目の灯台守の老人、ピューに引き取…

『闇の奥』/ジョゼフ・コンラッド

黒原敏行による新訳。ぞくぞくするような語り口が魅力的な、濃密でパワフルな中編だった。ベルギーによるコンゴの植民地化によって原住民とヨーロッパ人の双方が被ることになった不気味な変化を探ろうとする、ポスト・コロニアリズム的な小説として有名な本…

『ひと月の夏』/J・L・カー

1920年の夏、イングランド北部の村にやって来た第一次大戦の負傷兵と村の人々との交流を描いた作品。負傷兵の青年は教会の壁画修復を仕事にしており、夏のひと月ばかりのあいだだけ村に滞在する。彼は壁画を復元したり村人の子供たちとたわむれたり、牧師の…

『ナンバー9ドリーム』/デイヴィッド・ミッチェル

500ページ以上ある大作だけど、ページ数以上にボリューム感のある小説だった!物語の舞台は日本で、まだ見ぬ父親を探しに、屋久島から東京にやって来た少年が主人公。“父親探し”がストーリーの軸になってはいるのだけど、夢だか現実だかよくわからないよ…