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本、映画、音楽の感想など。

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

『かもめ』/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

ニーナとトレープレフの立場というのは、物語の開始時点ではほぼ同等のものだと言っていいだろう。彼らはふたりとも、何も持っておらず、ただ淡い希望だけを胸に、あいまいな夢を見ている若者にしか過ぎない。そんなところに、トレープレフにとっての乗り越…

『三人姉妹』/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

『桜の園』で競売の場面が描かれないのと同様に、『三人姉妹』においても、ドラマを推進していく事件そのものが舞台上で描かれることはほとんどない。第三幕の火事や、第四幕のトゥーゼンバフの死は、あくまでも背景に位置するもので、人物たちはその状況に…

『桜の園』/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

本作でまずおもしろいのは、誰も本気で「桜の園」を守りたい、とはおもっていなさそうなところだ。いや、正確には、「桜の園」を守るための具体的な行動を誰ひとり取ろうとしない、というところだ。ラネーフスカヤも、その兄ガーエフも、娘のワーニカとアー…

「ねむい」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

カシタンカ・ねむい 他七篇 (岩波文庫)作者: チェーホフ,神西清出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/05/16メディア: 文庫 クリック: 14回この商品を含むブログ (25件) を見る恐るべき短編。子供について描かれたチェーホフの作品のなかでは、おそらく最も…

「富籤」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

宝くじの当選結果が載った新聞を前にして、もし当たっちゃったらどうしよう…とお互いに妄想を繰り広げる夫婦の話。ワンシチュエーションで、登場人物がいろいろと好き勝手にかんがえる、って描写で作品が成立しているところは、「かき」にも似ている(「かき…

「ワーニカ」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

クリスマスの前夜、9歳の少年ワーニカは、奉公先での生活の辛さに耐えかねて、故郷のおじいちゃんに宛てて手紙を書くことにする。なつかしい故郷でのクリスマスにおもいを馳せつつ、眠気と戦いながら手紙を書き終えたワーニカは、宛名に「村のおじいちゃん、…

「小波瀾」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

チェーホフには、子供を描いた作品に素晴らしいものがたくさんあるけれど、今作もなかなかいい。小さな男の子アリョーシャは、家にやってきた母親の浮気相手の男に、「ぼく、じつはこっそりパパと会ってるんです。でもでも、このことはママには内緒にしてお…

「かき」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

「ぼく」は父親とともに、物乞いをするために街角に立っている。ああ、お腹が空き過ぎてもう倒れそう…ってときに、ふと「かき」という文字が目に入る。「かき」っていったいどんな食べものなの!?「ぼく」は食欲に刺激された想像力を駆使して「かき」をおも…

「嫁入り支度」/アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

どうやら没落貴族であるらしい、とある母娘のもとを訪れた「わたし」。時が止まったかのような小さく暗い家のなか、彼女たちは"嫁入り支度"と称して、ひたすらドレスを縫ったり刺繍をしたりして過ごしていた…! ちょっとユーモラスな語り口で、ことの顛末が…