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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『星の王子さま』/アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(その2)

「王子さま」と「僕」との対話は、ほとんどが一方的な「王子さま」の独白のようでもあるけれど、たぶんそうではない。「王子さま」は、やはり、彼の話をきちんと聞いて、受け止めてくれる「大人」というものを必要としていたのではないか。自分の心の内をさ…

『「星の王子さま」物語』/稲垣直樹

「星の王子さま」物語 (平凡社新書)作者:稲垣直樹平凡社Amazon 前回と前々回のエントリで取り上げた『星の王子さま』解説本はどちらも物足りなかったので、図書館からさらに5,6冊、同系統の本を借りて来て、ひと通り読んでみた(今年のGWは、ほとんどこれで…

『星の王子さまとサン=テグジュペリ 空と人を愛した作家のすべて』

星の王子さまとサン=テグジュペリ ---空と人を愛した作家のすべて河出書房新社Amazon ムックというか、編集本というか、まあそういった感じの一冊。「『星の王子さま』をめぐって」、「サン=テグジュペリ、その人となり」、「サン=テグジュペリの仕事」、…

『星の王子さまの世界 読み方くらべへの招待』/塚崎幹夫

なにしろ、『星の王子さま』という作品が感動的なのは、「王子さま」の最後の決断が、まさにこれしかない、と感じさせるような決断であるからなのだ。塚崎の意見からすれば、『星の王子さま』に書かれているのは、逃避や免罪符やノスタルジアの生暖かい感覚…

『星の王子さま』/アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(その1)

星の王子さま (新潮文庫)作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,河野万里子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/03/28メディア: 文庫購入: 24人 クリック: 119回この商品を含むブログ (184件) を見る およそ10年ぶりに再読。世界的大ベストセ…

『静かなる一頁』

早稲田松竹にて。『日陽はしづかに発酵し…』と同様、アレクサンドル・ソクーロフ監督の作品だ。ドストエフスキー『罪と罰』を下敷きにした作品、と聞いたことがあったけれど、下敷きと言うよりは、インスピレーションの源とした、くらいの言いかたの方がしっ…

『日陽はしづかに発酵し…』

日陽はしづかに発酵し・・・ [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2010/09/25メディア: DVD クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 早稲田松竹にて。いやー、むちゃくちゃかっこいいタイトルだけれど、これは辛かった。とにかく眠い。明確…

Hilary Hahn@横浜みなとみらいホール

ヒラリー・ハーンのバイオリンといえば、そのずば抜けたテクニックのもたらす安定感はもちろん、それに加えて「知的」で「冷静」で「意図が明確」な感じにすごく惹かれるのだけど、そういう演奏っていうのは、すごく「自然」に聴こえるものなんだなー、とい…

『シェルブールの雨傘』

水色、黄色、ピンク、オレンジなどなど、パステルカラーが散りばめられた画面は見ているだけでわくわくするようなたのしさがあるし、登場人物たち(というか、カトリーヌ・ドヌーヴ)の60年代な感じのファッションもいちいちかわいい。そして、よくよく見て…

『サイコ』

おもしろいと感じたのは、「サイコ」とぜんぜん無関係なプロットが進行していく序盤の感じ、人物の顔を長時間アップにし続けることでじりじりとした緊張感を高めていく手法、アンソニー・パーキンスがニカっとスマイルするタイミングの気持ち悪さ(ふつうは…

『ザ・フューチャー』

渋谷アップリンクにて。小さなアパートに暮らすソフィー(ミランダ・ジュライ)とジェイソン(ハミッシュ・リンクレイター)は35歳同士、同棲して4年のカップルである。ある日、ふたりは怪我を負った野良猫を見つけ、動物シェルターに運び込む。怪我が治った…

『愛と宿命の泉 Part Ⅱ 泉のマノン』

DVDで。パート2で描かれるのは、前編から10年後の物語である。泉を手に入れ、ついに「カーネーション王」となったウゴランは、ある日、泉で水浴びをする羊飼いの娘の姿を覗き見る。娘はジャンの娘、マノンだった。その美しさにひと目で恋の虜になってしまっ…

『愛と宿命の泉 Part I フロレット家のジャン』

DVDで。おもしろかった!パート2の『泉のマノン』と合わせてひとつの物語として完結する形になっている作品の第一部。愛と宿命によって複雑に絡まりあった人物たちが織りなす神話的で悲劇的なプロットがあり、豪華俳優陣の名演があり、そのバックには印象派…