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本、映画、音楽の感想/レビューなど。

2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『なつのひかり』/江國香織

江國香織の95年作。タイトル通り、白っぽい日差しや湿った匂い、けだるさ、客のこない小さな商店、田園、砂浜などといった、夏のイメージが全編からただよってくる、ちょっとシュルレアリスティックな匂いのするのファンタジーだ。江國作品らしく、登場人物…

『デッド・カーム 戦慄の航海』

DVDで。チープな味わいのサスペンス映画。ジョンとレイの夫婦(サム・ニール、ニコール・キッドマン)は、息子を自動車事故で失った悲しみを癒すべく、ヨットでクルージングに出かける。彼らは航海の途中、ボートに乗ってやって来た妙に顔の濃い若い男、ヒュ…

『通話』/ロベルト・ボラーニョ

チリはサンティアゴ出身の作家/詩人であるロベルト・ボラーニョの短編集。ボラーニョの作品ははじめて読んだのだけど、描写らしい描写というのがほとんどなく、物語性もかなり希薄。背景もストーリーも輪郭がはっきりしていないのだ。その代わり、文章自体は…

『ルビー・スパークス』

渋谷シネクイントにて。これはなかなかおもしろかった!長年のスランプから抜け出せないでいる小説家のカルヴィン(ポール・ダノ)は、ある日、夢に出てきた女の子を主人公に物語を書き始める。とってもキュートな彼女の名前は、ルビー・スパークス。作品を…

『シングルマン』

DVDで。ファッションデザイナーであるトム・フォードの初監督作品。ゲイの大学教授(コリン・ファース)を主人公に、パートナーを失うという体験の苦しみと、そこからのゆるやかな再生の可能性を描く。画面に映し出される構図や色調、ディテールはかなり凝っ…

『文章の品格』/林望

・品格のある、まともな文章を書くためには、まずは日常の話し言葉をまともなものにしていかなくてはならない。ふだんから、下品な言葉を使わないよう心がけること。 ・感情語(うれしい、かなしいなど)の利用はできるだけ避けること。その代わりに、具体的…

『文章術の千本ノック どうすれば品格ある日本語が書けるか』/林望

本書の前半では、上手なエッセイの書き方のアドバイスがまとめられている。林は、エッセイを書く際には、敬体(です・ます調)の文章は素人にはあまりおすすめしない(常体と比べて、無駄が多く、文章にスピード感がなくなる)、体言止めや、中止法(「~して…

『<不良>のための文章術 書いてお金を稼ぐには』/永江朗

本書の売りは、永江自身の文章作成プロセスを例に、「お金を稼げる」文章を書くためのテクニックが細かく解説されているところだろう。書評、お散歩ガイド、グルメガイド、エッセイなどの分野で、掲載誌によって文体や固有名詞を使い分けるようす、いかにも…